聖十字教編

第16話 止めてくれ!!

「主人様、多くの冒険者はこんなに稼げません、A級の内ちほんの一部の怪物みたいな冒険者しか稼げない金額です」


「ダンジョンボスの、クレイジイベアはD級冒険者30人位で取り囲み、何とか倒せる化け物だぞ!!」

 ギルマスが何か言ってる。


「主人様!C級タグ貰えたので、A級難易度ダンジョンに入れます!!B級依頼を受けて、ダンジョン制覇に行きましょう!」


「止めてくれ!!お前ら、今日はもう帰れ!!」


「ご主人様!ビッグボア狩に、森に行きましょう!」

「そうだよ!主人!肩慣らしがやっと出来た所!このまま帰るの詰まんない!!」

 おっ!カロが長文話してる、兔人は狂暴な戦闘民族とリズが言ってたけど、その通りかも。


「じゃ、軽くビッグボア狩って、孤児院にでも差し入れするか!」

「そうしましょう……誰か解体出来る?」

「「「「………」」」」

「誰も出来ないみたい、ご主人様も出来ないですよね?」


「……僕も出来ない…ギルマスに解体して貰おう!!」


「お前ら、俺はギルマスだぞ!!解体肉の業者じゃ無いぞ!!」



 ギルマスが、何か言ってるが、私達は森に向かって走った。



 森の中を駆けて行くと、角の生えたウサギが逃げて行く。

「あれはホーンラビ、あの3倍位大きい角ウサギは、アルミラージと言う別種の魔物です、下位の冒険者用に狩らずに行きます」



「おっ!居たが、少し小さいな」

 と言っている内に、キロが射殺した。

 眉間に深々と鉄の矢が突き立っている。


 その後も、キロとカロが一撃で倒し計6頭仕止めて止めた。

「思った程面白く無かったな」

「次の休養日は、ドラゴンでも狩に行きますか?」


 全員が一頭ずつ担ぎ、早歩きで帰りながら、楽しく会話がはずんだ。

 門番達が、目を剥いて驚いて居た。

「エーアイ?お前達化け物か!!」

「子供みたいな少女まで、ビッグボアを軽々と担いで!!」


「門番さん解体出来ます?」

「あぁ、こいつが上手に解体するぞ」

「じゃぁ一頭お土産にあげる」「おっ!悪いな、有り難く頂くぞ!」



 5人の美女が、200㎏のビッグボアを担いで歩くのは住民の目を引いた。


「ギルマス!解体教えて」

 冒険者ギルドのギルドマスター、ブツブツ良いながら、親切に解体方法を教えてくれた。

 巨大なビッグボアの解体は、技術より力業と言う事が分かった。


 ギルマスと3人の補助、4人で解体を始めた。

 見ていたリズ達は、要領が分かった様で各々が解体を始め、ギルマス達が半分解体をした頃、全員解体が終わっていた。


 孤児院に一頭、領主に一頭、ビル達のクランハウスに一頭置いて喜ばれた。


 我が家の一頭を、エリスとケイサに見せると「早速ステーキにします!残りは塩を染み込ませ干し肉にします!薫製肉も良いですね!!お任せ下さい!当分お肉買わなくて済みそうです」と、喜んでくれた。


 嵐の前の静けさ、僅かな平和な一時だった。


 開業前後、これ程派手に行動したエーアイが、平穏に暮らせるわけが無かった。

 潔癖な領主の行いの為でも有った様だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る