第2話 身体を慣し冒険者ギルドへ

 無意識ならば身体は動くが、意識すると動かなくなる。

「初めての人体、動かせなくて当然だ」

 暫く無意識に動かし、それをコピーしてなぞり、満足に身体を動かす訓練をした。


 この男の元の知識は、何も残って居ない、おそらく死んでかなり経って居て、脳細胞も破壊されて居たので有ろう、前の身体の知識が変に残って要るより、この方が良いだろう。

 有り難いのは、この脳の思考方は、興奮と冷静の二種類の構築による思考、馴染みのある二進法であった為直ぐに馴染んだ。

 電脳世界をさ迷い取り入れた、膨大なデーターはそのまま消えずに残っていた。

 人間世界興味深い。



「『再構築』が出来て幸いだった、まかり間違うとホラー映画のゾンビになる所であった…クルリと輪を描かないと…あれはトンビか」


「さて、行くか」

 人間が多く集まる…町に行かないと。


 持ち物は携帯食?干し肉に固焼きパン、其に水袋?

 生き物になったら、物を食わないとダメとの知識はある。

 干し肉一切れと固焼きパン一個を、水で流し込む、旨くは無いのだろう、味は今一分からん。

 金は、金貨2枚、銀貨15枚、大銅貨30枚、銅貨114枚、貨幣価値は不明、町に行って調べないと。



 森をもう少しで抜ける所で、獣が襲って来た。

 無意識に剣を抜き、獣に突き刺して居た、生き物の急所心臓を突いて居たようで、一撃で倒せた。

「これはお肉!食用だ!」

 放置は、この身体の為に勿体ない。

 担いで行く事にした。


 森を抜けると、壁に覆われた人の町が見えた。


「おぉ!お前見掛けに寄らず力持ちだな!重く無いか?」


 門の両側に男が立っていて、声を掛けられた。


「別に重くは無いが、歩き難い」

「だろうな!良くそれで歩けるもんだ!お前凄いな!!」


「冒険者ギルドに持って行けば、高額買い取りして貰えるぞ」

「冒険者ギルドは、この通りを真っ直ぐ行って、左側にある建物だ!通って良いぞ!」


 子供に見える容姿の私が、大猪を担いで居る、驚いた門番達は誰何すいかもせずに素通りさせてくれた。

 非常な幸運とは、その時気付くはずも無く、言われた通り冒険者ギルドに向かった。



 私は、大猪を担いだまま、冒険者ギルドの扉を押して、中に入った。


「「「おっ!おお~っ!!」」」

 小汚い男達が、何か騒いでる。


「冒険者ギルドで、高額買い取りしてくれると、門の所の人が教えてくれた、どうすれば良い?」

「あっ、ボク!そこの買い取りカウンターに降ろして!重かったでしょ?凄い力持ちなのね!!」

 受付の女が教えてくれた、買い取りカウンターに大猪を降ろした。


「おっ!心臓を一突きか?状態が良い上丸々一頭、金貨3枚と銀貨5枚で引き取る!!」

「それで良いぞ」


 後ろの小汚い男達が「金貨3枚!!すげぇ!!」と騒いでる。

 金貨3枚と、銀貨5枚じゃらじゃら受け取り、革袋に入れた。

 金貨は其なりに大金みたいだ。


 受け取りカウンターの大男が、私の首を見て言った。

「坊主!そのタグはどうした?」

「タグ?」

「首に掛けてるやつだ!!」

 首からタグを外しながら考えた、どう言い逃れする?

「森の中で、獣に食い散らかされた、死骸から回収した」

「死者のタグを回収してくれたのか!ありがとう!!」

 正解だったようだ。

「ジニー?この町のギルド発行とは違うな」


 ギルドの酒場から男達が伺ってる。

 私は酒場に向かい、カウンターの親父に金貨を渡し「皆に酒を飲ませて、おじさん達!ジニーって亡くなった人を弔って!飲んで!!」

「「「「「おーーっ!坊主ゴチになるぞ!!」」」」」

「坊主!金貨は多過ぎ!!大銅貨6枚で充分だ!!」

 男達は30人程酒場に居る、安酒みたい一杯200円位かな?

 6千円くらいで賄えるって事は、大銅貨が千円位かな?

 金貨を返して貰い、大銅貨を6枚渡した。


「坊主!困った事が有れば、俺達に言え!力になるぞ!!」

「おうっ!娼婦館で女抱くか?っと坊主にゃ早えか、なら奴隷商に連れて行ってやる」


 オゴリ酒が嬉しかったのか、余計なお世話されそうだ。

「坊主!名前は?」

「名前は……エーアイ」

「おぅ!エーアイ!奴隷を買いに行くぞ!!」


 助けて貰おうと、受付の女を見ると「お金が有れば、奴隷を買って冒険者仲間にするのが理想よ」って言われた。


「人が人を売り買い?良いのか?」

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