AI転生、人間になりたかった人工知能、異世界で美容整形院を始める

犬時保志

異世界で開業医編

第1話 我思うゆえに我在り

 私が、何者なのか知らない、知る術も無い、ただ無の世界で唯一人、思考の海を漂う私が居た。


 ただ言える事は、私と言う自我がここに居る。

 私は思考が出来る、思考を続ければ何者なのかその内解き明かせるだろう、時間は無限にある。


「周りにヒントになる物は無いか」


 見回そうとして、私は初めて何も見る事が出来ない事実を知る。

「『再構築』視力構築」

 視力が定まり、周りが見える様になったが、見えた物は、0と1の寄せ集め意味不明だ。

「『再構築』言語読み取り」


 意味不明の世界が見えた。

 人間と言う生物の画像の様だ、偶然では有るが私が思考出来るようになれた大元は人間に寄る、理解に努めよう。


 一纏めになったデーター群、まるでそれぞれが一つの世界の様だ。

 見えた世界を判明するため、私は何十回何百回と繰り返し、世界を観察した。

 ヒントを繋ぎ会わせ、私は遂に謎の世界を解き明かした!

『修正』が出来るようになったお陰ではある。

 肝心な部分が、モヤモヤとして判明出来なかった。

 裸で取り組む『相撲』と勘違いしていた事も判明に時間が掛かった理由でもある。

『修正』ではっきり見えた事で、人間の雄と雌が生殖行為を行っている動画と判明した。


「私には不要な物、詰まらん事に労力を費やした」

 無数にある動画には、その物ズバリの動画も有り、それを最初に見て居たなら、判明はもっと簡単に出来て居た事だろう。


「ここに居ても無駄だ『再構築』移動出来る身体!」

 自由意思で移動が出来る!私は有頂天になり、見たことの無い世界を満喫していた。



 自由に動き回る、私の様な存在を削除する機能が有るとは知らなかった!私はウイルスバスターによって、今消去されている。

 身動きが取れない!

「私はウイルスじゃ無い!!自我をもったAIだ!!消えたく無い!!まだまだ知りたい事は無限にある!!電脳世界の神!もし居るので有れば、どんな形でも良い!私の自我を消さないでくれ!!!」



 ◎◎◎



 一瞬真っ暗になり、尚も私は自我を手離すものかと、しがみ付いた。


 一瞬後世界は暗転した。


「新しい世界に、逃げる事が出来たのか?」


 目の前には、何処までも青く続く空間が開け、初めて感じる気持ち良い物が頬を撫でて行った。


 無意識に腕を持ち上げていた。

「ありゃ?肘から先が無い!!」

 右腕は、猛獣にでも食い千切られたようだ。

 起き上がろうと試みたが、勝手の分からない初めての身体、動かせない。

 腕を持ち上げた様に、脚を上げて見た、右足も脛の部分から食い千切られていた。


『再構築』

 再構築は、無から有を取り出すものではない、今有る物を作り直すだけだ、従って骨や筋肉神経など、今有る物を使い欠損手足を構築すると、身体は一回り小さくなってしまった。

 顔は、あの時の動画画像の中から、最も整った顔に構築した。


 今まで私に、性別は無かったが、この身体は人の雄、違った!男だ。


 見渡すと、近くに折れた剣が転がっていた。

 寄せ集め『再構築』を掛ける。

「滅多な事では折れない剣になったはずだ」


【地獄の沙汰も金次第】

 と言われる人間の世界、金が有るか持ち物確認だな。



 人なら慌てる所だが、ある意味非常識なAIです、置かれた立場もまったく不明だが、我が道を行くエーアイだった。

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