第9話 龍介の明かされる秘密

あれから彰哉とは距離をおくことにした。


彰哉に正直、気になる人がいるという事を話した。


彰哉と龍介の間を行ったり来たり。


しばらく続き、彰哉には新しい彼女が出来た。




そんな私は、龍介とは相変わらずで、部屋の行き来をする関係のまま。


何も変わらない日々が続く。


私は日が経つにつれて、しっかりと龍介への想いを固めていた。





それから数ヶ月が過ぎ――――




「砂耶香ちゃーーん」



私の部屋に入ってくる龍介の姿。


私は気付きはしない。




「砂耶香ーー」




バッと布団を剥ぎ取られた。




「おっ!セクシーー♪」




私はパジャマを着ない主義。


キャミソール姿に短パン姿。


人それぞれの価値観によって捉え方や見方は変わるかもしれないけど……


結構、肌の露出度高めを着て、夜はたまに寝ているのだ。


だけど、普段は露出度高めではないのを好んで着ている。


正直、余り好きではない方だからだ。


外出先や、普段部屋で過ごす時は、Tシャツに短パンとか、キチンとした格好をしている。


結構、夏場、街に出るとオシャレしてみんな肌露出度高め着ている人を見る羨ましい気もするけど、スタイルに自信あるわけじゃないから、いつも無難な格好しているのだ。




「ん…」


「見かけによらずイイ体してんじゃん!」



ふと目を覚ます私。



ドキーーッ



「きゃあああっ!」



私は、剥ぎ取られた布団で慌てて隠す。



「な、な、何してんの!?」


「イイ眺めだ……」



バコッ


クッションを投げ付ける。





「ぶっ…」


「スケベっ!変態っ!早く出てってっ!」





ドサッ

押さえつける龍介。



ドキッ



「抱きたくなるような格好してんじゃねーよ。砂耶香」



ドキッ



「そ、そんなつもりは…」

「ないって?その格好で言える立場かよ」




キスをすると首筋に唇が這う。


キャミソールの下から胸に手が触れ、下へ下へと唇が這うと再びキスをされ深いキスをされる中、下半身に手が伸びる。


声を出すにも、唇も塞がれ、身動きも出来ない。



《ちょ、ちょっと!》



龍介はスッと離れた。




「…………………」



「なーんて!早く着替えろ!出かけるぞ!」

「えっ?」

「どうせ暇してんだろう?」


「わ、悪かったな!つーか、私以外の女の人を誘えば良いじゃん!私じゃ相手に…」




キスされた。




「お前でいいんだよ」




至近距離出かける言われ胸が大きく跳ねる。



「つーか…お前じゃなきゃ…駄目なんだよ。別に特別な意味で言ってるわけじゃねーけど。車の中で待ってるから用意して降りて来い」




出て行く龍介。




「…も、もしかして…デート?ある意味デートだよね…」





私は準備をし出かけた。




「ねえ、何処に行くの?」

「リクエストあるならどうぞ」

「急すぎるし…出てこない。任せる」

「そっ!」

「うん」



「お前、分かりやすいよな?」

「えっ?何が?」

「忠告しただろ?深入りすんなって」

「えっ…?…あー……」


「全く。今はまだ関係持ってなくてキス止まりで済んでたけど…後悔するのはお前なんだよ」


「…私の気持ち…気付いてるって事…?」

「一応な」


「…そっか…気付いているなら話すけど、自分の気持ち抑える気ないよ…」



「別に止めねーよ」

「…龍介…」

「止めるだけ無駄だろう?」

「…それは…」

「で?お前の気持ち素直に言いな」

「…えっ…?」



「何を望んでんの?」


「私は…ただ、こうして出かけたりされるだけでも充分幸せで、龍介との時間を楽しんで大切にしたい」


「今は、それでいいよ。でも、ずっと、そんなわけにはいかないだろう?」


「…それは…」




「片想いが幸せかもしれない。1つ1つの仕草とか相手の事、1つ1つの事に胸トキメいたり嬉しくなったり、でも結局、最終的には相手を求めてしまう。恋愛はずっと幸せが続かねーもんだろ?」


「…龍介…先々の事、考えるの?今の時間…本気で好きな人との時間は大切にすれば良いじゃん」


「最初は、それでいいよ。でも、相手を求めるのは当たり前だろう?」


「…それは…」


「俺に深入りして後悔して恋愛は良いものじゃないって思うのは自分自身、砂耶香、お前なんだからな」




「恋愛に幸せはある?泣いたり笑ったり喧嘩したり、その繰り返し。結婚しても幸せばかりじゃない。ほんの僅かなんだし。夫がいて妻がいて子供がいても幸せばかりじゃない。当たり前の繰り返しで、でも一生やっていく家族なんだよね」




車を脇に止める龍介。




「なんて…私、何語って……」




振り向くと同時にキスをする龍介。



ドキン…




「お前が…奥さんなら、やっていけそうだな…」




ドキン




「えっ…?それって…どういう事?結婚する気?」

「だとしたら?」

「えっ…?」



「………………」



「なーんて嘘だよ。マジに取んな!」


「なっ…!私の気持ち知ってて意地悪しないでよ!信じらんないっ!」




私は車を降りる。


すると、外は潮の香りがしていた。




「…海…」


「良かったな。海があって」


「えっ…?」


「海って気付かず降りてんじゃねーよ。何もなかったら、どうしてたんだよ」


「そ、それは…」





クスクス笑う龍介。




「なあ、砂耶香。前に、俺に渡してくれって言われた女、覚えてるか?」


「うん。美人な人だよね。あ、ごめん…口に出したらいけなかったんだよね…」


「いや…今日は…その事に関してだから」


「えっ…?」


「あの女(ひと)…俺の…元奥さん」




ズキン…




「えっ!?」


「…子供の写真……俺の…子供」

「嘘…」


「本当。正直、まだ先で言うつもりだったけど、お前が深入りする前に関係持って後悔する前に言っておかなきゃなんねーと思って」



「じゃあ…どうして…?他の女の人…」


「だから特定の女つくらないって事、言ってる意味分かるだろう?でも、みんな、それを知った上で近付いて関係持ってる」


「…そうだったんだ。…でも子供の写真なら、成長が楽しみでしょう?」


「…例え同じ血が流れてて親子だとしても、他の男と出て行った過去の女の事は興味ねーし」


「えっ?」


「だから今更、あんなもの渡されても困んだよ。そう思って、処分しろって言ったんだよ」


「写真くらい持っててあげても良いんじゃないの?龍介は、お父さんなんだよ!」


「…アイツにとって一人の父親だとしても、アイツは俺の事は覚えてねーよ」


「…龍介…」


「つまり、そういう事だから、あの女と子供の事は口に出すなよな」


「…分かった…」



私達は、そこから離れ移動した。


















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