第8話 別れ、もう一人の存在
ある日の事。
「……耶香、砂耶香…砂耶香!」
「えっ?あっ!ごめん……」
《そうだ。彰哉とデート中だったんだ…》
「どうかした?最初は普通だったから気付かなかったけど…体調悪い?大丈夫?」
「う、うん。大丈夫だよ」
「そう?」
「うん。ごめん」
私は気持ちを切り替えた。
あの日以来龍介とは会っていない。
部屋に行こうと思うも辞めておくのだ。
そして日にちだけが過ぎていく。
それから一ヶ月過ぎた、ある日のデートの日―――
「砂耶香」
名前を呼ばれ振り帰るとキスをされた。
「俺達、付き合ってんだよな?もう良いだろ?」
「えっ…?」
「いつでも、チャンスはあったけど抱く勇気なくて…」
ゆっくりと倒して行く彰哉。
「ちょ、ちょっと待って…!辞め…」
「どうして?」
「…あの…私…今、女の子の日で…」
「えっ…?あ、そっか…」
「ごめん…」
彰哉は離れた。
そして別の日のデートの日。
「砂耶香…もう…良いだろう?」
「えっ…?」
私の返事を聞く間もなく、彰哉はキスをし私をゆっくりと倒していくと、進めていく。
「ちょ、ちょっと、待っ…」
気付けば洋服乱れ肌が露になっていた。
「砂耶香…」
「…分かってる…分かってるよ…付き合ってるし…関係持たないわけじゃないけど…」
「…砂耶香…初めて?」
私はゆっくりと頷く。
「優しくするから」
キスされた。
更に進めていく。
怖いのと同時に心の奥に龍介の存在があった。
身体に力が入る。
「…砂耶香…?無理そう?」
「…ごめん…」
「…………………」
スッと離れる彰哉。
「ごめん…彰哉…今日は…帰るね…」
私は無理に笑顔をつくる。
「送る」
「大丈夫…一人になりたいから…」
「…そっか…」
「ごめんね…彰哉…」
私は帰る事にした。
「…龍介…に…会いたい……」
私は歩道橋で、ぼんやりしつつも涙がこぼれ落ちる。
そして―――――
「彼女、何泣いてんの?」
ビクッ
慌てて涙をふく私。
「泣いてません。目にゴミが入っただけですから」
帰り始める私。
「嘘ばっか。男にでも振られたか?」
振り返る私。
ドキッ
「…龍…介…」
「で?どうなの?やっば振られた?彼カッコ良かったのにねーー。まあ、俺には負けるけど」
「………………」
「おいおい。何か反論しろよ。調子狂う…」
私は龍介の胸の中に飛び込む。
「うわっ!何?彼氏に誤解されるぞ!」
「龍介に誤解されるよりもマシだよ!」
「えっ!?」
バッ
離れる私。
「ごめん…今のなしね…」
「はっ!?意味分かんね―んだけど…」
「分かんなくって結構です!!」
私は足早に帰り始める。
「あっ!おいっ!」
後を追う龍介。
私達は騒ぎながら帰る。
私はこの時間が好きだった……
あなたの事
本気で好きになっていいですか?
女癖悪くてもいい
私の事
少しでも考えてくれるだけでいい
今 この時間と
これから過ごす色々な時間
大切にしたい
いつか必ず
あなたに気持ち
伝える時が
くると思うから――――
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