第5話 ふたりの関係〜気付かない想い。平行線〜

それから、ストーカーの件は警察に報告後、何とか捕まった。


どうやら、同じマンションに住む住人だった事が明らかになり、私は余りにも身近過ぎて恐怖を感じた瞬間だった。




その日、私の部屋にいる時だ。



「龍介、今度…お礼したいんだけど……」

「お礼?じゃあ、体で」

「あのねー!冗談じゃないから!第一、私はまだ経…」


《はっ!言ったら茶化してくる!危ない、危ない》



「経…?何?」


「何でもないっ!絶対に!龍介と関係持たないんだからっ!」


「えーっ!…残念…若い子とH出来るなんて二度とないのに」


「龍介…あんたいくつ?23歳が言う台詞じゃないよね?」


「だって俺、年上が良いから。23年間生きてて今まで年下は付き合った事ないからさー」


「そ、そう…なんだ…って、私を試すような事しないで!!」


「チューした仲じゃん!」


「例えそうだとしても、ファーストキス奪われた挙げ句、ファーストバージンまで奪われたくない!」



《あっ…!ヤバイ…自爆…した…》



「…やっぱり…未経験女子!手取り足取り教えてあげるよ〜砂・耶・香!優しくして…」





ベシッ

腕を打つ。



「痛い…か弱い俺に暴力した…」


「か弱い!?はあっ!?あんたが、か弱いなんてキャラじゃない!ただの女癖悪い…」



グイッと引き寄せる。




ドキッ


「あー、だろうな。あんたの知ってる俺は女癖悪い男。だけど…本当の俺をあんたはまだ知らない」



「………………」




更にグイッと引き寄せられキスをされた。



唇が離れ、至近距離にある顔に胸がざわつく。



それも束の間、


再びキスをされ、唇の中に熱が入ってきて、慣れない状況に戸惑う私に気付いたのか、一瞬、唇が離れキスの仕方を教えられた。


すると再びキスをされる中、ぎゅうっと抱きしめるようにされたかと思うと熱が入ってきては深い濃厚なキスをする。



唇が離れ微かに微笑む龍介。



「良く出来ました」




かああああ〜〜〜っ!


身体全身頭のてっぺんから足の爪先まで一気に熱くなったのが分かった。



「可愛い奴」


「……!!!」


「クスクス…どんだけ純なわけ?その反応ヤバすぎでしょ?」



「………………」



「し、し、仕方ないでしょう?だ、第一、と、年下だからって意地悪しないで!!」


「なんか可愛いから意地悪したくなる。砂耶香の違う一面発見した感じ?マジ、年下ありかもな」


「ば、バカッ!!もう帰って!!」


「はいはい」



そう言って去り始める龍介。


すると、ふと振り返り、チュッと唇に一瞬キスをすると足早に帰って行く。




「なっ…!ちょ、ちょっと!龍介っ!」


「またね〜!砂・耶・香・ちゃん」



ニコニコと手を振り笑顔で帰って行く龍介。


コロコロ変わる彼に振り回されているような……。




「本っ当!油断も隙もあったものじゃない!」






無邪気でチャラっぽいけど


時折見せるクールな姿


突然醸し出す


大人のギャップ


どれが本当の


アイツなのか?



無邪気な彼は


どこか憎めなくて


クールなアイツが出ると


私の胸はざわつき


見透かされたような


アイツに


惹き寄せられる


















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