第12話 お見舞い
朝を起きると体が熱かった。多分身体が回復しようと体温をあげているだと思う。なんとか朝食は取れたが、体温を測ると37.9度あった。これは学校を休んだ方が良いかもしれない。
「風邪か誠一」
「……みたい」
「なら学校には欠席の連絡を入れないとな」
リモートワークで一日家に居る父さんの計らいで、休むことになった。皆勤賞は諦めるしかないようだ。身体は痛いというか熱い。
「食欲はあるんだよな?」
「うん。昼食まで寝てるよ」
「ベットでユーチューブ見るなよ」
「分かってるよ」
眠い訳では無いがベットで大人しくしてよう。学校を休んで惰眠を貪るのも悪くない。寝れたら寝よう。それまでは目をつぶってゴロゴロしていよう。
◆◆◆
気付いてたら夢を見ることなく寝ていた。さすがに瑠璃が寝ないと黒曜にも会えないらしい。
「ん~。腹減ったなぁ」
寝ていても腹は減る。リビングで仕事しているはずの父さんが居ない。買い物にでも行ったのだろうか? 時計を見ると正午を少し過ぎていた。ウチは共働きで母さんは介護士なのでシフト制だ。父さんの昼飯は大抵冷凍食品になる。居ないって事は冷凍食品が無くなったのだろう。ピザでも頼むか。
スマホに登録してあるピザ屋に電話すると休みのアナウンスが流れた。どうしたものか……。学校休んで飯を食いに行くのは気が引ける。
その時玄関のインターホンが鳴った。こんな平日に誰だろう。父さんが密林で注文した物でも届いているのだろうか? なら、父さんが家に居るはずだし……。
「どなたですかぁ」
インターホンのディスプレイに写ってしたのは制服姿の瑠璃だった。意外過ぎてテンパる。どうやって住所を知ったのだろうか?
『誠一君居る? お見舞いに来たよ』
「ちょっと待ってて。いま、鍵を開ける」
玄関の鍵を開けるとエコバックを持った瑠璃が立っている。
「休んだから心配になって……。お昼はもう済ませた?」
「いや、まだだけど」
「私が精の付くもの作ってあげる」
「あ、えっと。まあ、上がって汚い家だけど」
「お邪魔します」
おいおいおい。制服女子を家に上げてしまったぞ。背徳感半端ねぇ。同級生でもアウトな案件では……。
「寝室には入らないから安心して」
「それは色々と助かる」
掃除してない。ヤバい物も散乱している部屋に上げるのは多分アウトだ。
「学校早退してきたの?」
「うん、心配だから」
そう言いながら、エコバックからエプロンを取り出した。準備万端っすね。何作ってくれるんだろ? これでメシマズだったらどうしよう……。笑顔で食べきれるだろうか?
「ウナギが半額で安かったから、うな丼だよ」
ウナギをレンジで温めて、ご飯に乗せるだけ。簡単だね! エプロン要ります? タレが制服に掛かるとまずいのか……。
「材料費は払うから」
「いいの、好きでやってるから」
ううん、どうしようかねぇ。精を付けて襲わない様にしなくっちゃ。俺の中で瑠璃は好感度MAXなんだよなぁ、性欲も独占欲もMAXだけど。
これは自分の自制心が試される試練の時間だ。父さんが帰って来るまで我慢だ俺。
「襲われるとか思わないの?」
「襲う元気も度胸もないでしょ?」
「……その通りです」
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