第6話 本の貸し借り
瑠璃からアニメ化した少女漫画を貸してもらう代わりに俺もアニメ化はしたがワンクールで終わってしまった長編小説を現時点で三十冊以上出ていて現在進行形で作品の終わる未来が見えない。当然高校生のお財布に優しいくない。これは父親の蔵書の一つだ。最初の五冊だけ持ってきた。
「なんで女子は少年漫画を読んでても何も言われなくて、男が少女漫画を読むと変な目で見られるんだろうな」
「それもジェンダーレス差別なのかな?」
「分からん。ただウチは古風な家柄だから男は男らしく、女は女らしくって考え方なんだよな。俺は百合やら薔薇とか気にしないし。そういう作品にも名作があるって知ってるし」
「乱読家だね、私もそうだけど。そうだね、マリみてとか鳳凰騎士団とか良作はあるし」
「妹が腐っててな、BL本を買いに行かされるんだよ。店員さんの生ぬるい目が毎回地味に傷つくんだよな」
「どんな羞恥プレイなの? 妹さんに嫌われてるんじゃない?」
「確かに兄妹仲が険悪になった事はあるけど、
「それは純粋と言えるのかしら? 無知なだけじゃない?」
「まあ、まだ中学生だからな」
「中学生で腐ってるって大丈夫?」
「ダメだろうが作品を愛する気持ちは理解する。さすがに薄い本は俺が買う訳にもいかないし」
同人誌即売会か虎の〇にしかないだろう。どちらも十八禁だから買えない。電子書籍で年齢を偽るしかないのだが、中学生の妹がそこまでして薄い本を買いたいとは思えないし、いやありえるか……。
「妹の将来が心配になってきた……」
「でも、温かく見てあげるしかないと無いと思われる。私もお姉ちゃんが貴腐人になったときも生温かく見守るしか無かったし」
「それはお気の毒に……」
「お姉ちゃんが同人作家で売れっ子になったのは物凄い事だと思っているわ」
「それはほんとに凄いな、一握りの人間だろ喰っていけるのって、なんてサークル?」
「青の衝動」
スマホを取り出し検索してみると公式サイトとファンサイトがヒットした。
二次創作がメインで偶にオリジナルも出すそうだ。絵柄を見ると柔らかな微細なタッチでストーリーは分からないが、これは人気になるわけだ。
「これアナログじゃないだろ、液タブ?」
「なんてメーカーのかは知らないけどパソコンとペン型マウス? で描いてるよ」
「へぇー、やっぱりクリエイターは憧れるな」
「誠一君もかいてみれば?」
「無理と言いたいけど、何事も挑戦だよね」
最初から上手い人間は居ない。コツコツ絵を書いてみよう。何事も最初の一歩を歩むことが大切だと本に書いてあった気がする。
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