第二十三話 「Закрытый мирⅡ[閉ざされた世界(Ⅱ)]」

「Что, черт возьми,


 это за место...?

(ここは、一体・・・?)」


「――――!


 …Эймой

(――――"!"


 ・・・エイモイ)」


"グイッ"


自分の少し離れた場所に座って、


静かに目を閉じながら一言も発しない


ツベフォフを見て、隆和はこの


закрытый мир(ザクリティ・ミー)


と呼ばれる、地下に広がる森の事について尋ねる


「・・・・」


"スッ"


「・・・・」


立ち上がると、ツベフォフは


静かに川の側に向かって歩いて行く


"チャポッ..."


「Этот закрытый мир


 Огромная территория,


 раскинувшаяся в


 подземном комплексе


 Абсолютная-Ø,


 предназначена для


 наблюдения за


 экосистемами и жизнью


 различных животных.

(この、


 закрытый мир(ザクリティ・ミー)


 Абсолютная-Øの


 地下施設に広がる、広大な場所は、


 様々な動物たちの生態系、そして


 その生活を観察するための物だ―――)」


「для чего?

(・・・一体なんのために?)」


「имеется в виду, да

(・・・意味、か―――)」


"チャパッ"


言葉に返事をせず、ツベフォフは


自分の足元に流れている小川の水を


手ですくい取る――――


"パシャッ....


「(・・・・)」


相変わらず、何を考えているか分からない


様子に戸惑いを感じながらも、隆和は


度数の強いウォッカに後押しされたのか


そのまま、言葉を続ける


「В таком подземном


 месте, лес――――


 И достаточно


 вместительный...


 Как будто сюда привезли


 сибирский лес――――

(こんな地下の場所に、森―――


 しかも、かなり広さのある....


 まるで、これはシベリアの森をそのまま、


 この場所に運んできた様だ――――)」


「・・・・」


何も喋らず、ただ自分がすくった小川の水を、


ツベフォフは瞬(まばた)きもせずじっと見つめる


「Более того, ты один в


 этом месте, ничего не


 делаешь,просто стоишь

(しかもあなたは一人で、


 この場所で何をする訳でも無く


 ただ、佇んでいる――――)」


「・・・・」


"ザアアアアアアアアアァァァァ――――


「・・・・」


「・・・・」


「Эймой――――…

(エイモイ―――...)」


「・・・・」


少しの間沈黙が流れ、隆和が


スキットルを口に付けていると


座っているツベフォフが顔を上げる....


「Сколько времени прошло


 с тех пор, как вы пришли


 на эту Абсолютную-Ø...?

(お前がこの、


 Абсолютная-Øに来てから


 どれくらいの期間が経つ....?)」


「Нет, нет, около


 трех месяцев.

(い、いえ、大体、三カ月くらい....)」


「Три месяца----

(三カ月―――)」


「・・・・」


しゃがんだ状態から立ち上がると、


ツベフォフは顔を向き直す


「Поскольку вы были


 отправлены в это


 учреждение в качестве


 сотрудника газетной


 компании Мосу-ку


 Ваабэ, ваша работа и


 ваш курс по сердечной


 гармонии...

(お前が、この施設に


 藻須区輪亜部新聞社の社員として


 派遣されて来てからの仕事、


 そして、心和の講習....)」


「(・・・・)」


隆和の頭に、この地下施設の終業後の


心和と称される時間に、ひたすら


ランニングをしていた事が浮かんでくる


「Как видите, закрытый


 мир— это место,


 воспроизводящее


 экосистему Сибири

(お前が見た通り、ここ


 закрытый мирは

(ザクーティェ・ミー)


 シベリアの生態系を再現した場所―――)」


「для чего?

(・・・一体、なんのために?)」


「・・・・」


「・・・?」


"スッ"


「господин Цвефов!

(つ、ツベフォフ氏!)」


「давай вернемся

(・・・戻ろう)」


「Ты возвращаешься?

(も、戻る?)」


「・・・・」


何を思ったのか分からないが、背中を向けると


ツベフォフはそのまま森の中へと


引き返していく....


「(・・・・)」

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