第二十二話 「набережная(水辺)」
"ザアアアアアアアァァァァ――――"
「(川があるのか・・・)」
"スッ"
「・・・・」
この、закрытый мир
(ザクーティェ・ミー)
と呼ばれる、まるでシベリアのタイガを
模した様な森の中を、まばらに残る
雪を踏みしめながら先へと進んで行くと、
眼前に、小さな小川の様な物が見え
先を歩いていたツベフォフが小川の側の
少し土が高くなった場所に腰を下ろすのを見て、
隆和は立ち止まる....
「・・・・ッ」
"キュポッ"
「(・・・・酒...)」
「··· Хм!
(・・・・っ、ハーッ!)」
「・・・・」
相変わらず寡黙(かもく)なまま言葉を発さず
小山になった土の上に腰を下ろした
ツベフォフに目を向けると、自分の懐から
スキットル(曲がった酒瓶)を取り出し
それをおもむろに口へと運ぶと、何も言わず
ただ、目の前を流れている
小さな川を見ている....
"ヒョイ"
「わっ」
「...Аймой――――
(・・・・エイモイ―――)」
「Этот?
(こ、これを?)」
「・・・・」
ぼうっと川を眺めていると、
座っていたツベフォフが自分が飲んでいた
スキットルを隆和に放り投げて来る
「・・・・」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「っ、ァっ....」
「・・・・」
「(ウォッカか・・・)」
目の前に流れる川を横にいるツベフォフと
同じ様に、ただ眺めながらスキットルに
数口ばかり口をつけると、
どうやらスキットルの中身は当然の様に
"ウォッカ"の様で
そのアルコール度数の強さに
思わず乾いた様な声が出てくる
「ーーーっ、ァアッ」
「・・・・」
"ザアアアアアアアアアァァァァァ――――
「キイッ キッ!」
「ホー.... ホー....」
「(・・・・)」
"ジャパンッ!"
「・・・・!」
自分達の周りを覆っている、小高い
針葉樹のどこからか、あまり聞きなれない
おそらく、動物の様な鳴き声が聞こえ
それに意識を払っていると、目の前の小川の中から
あまり目にした事が無い魚が飛び跳ねる
「・・・・!」
「スウウウウウウウウゥゥゥゥ
「・・・・?」
"ドサッ"
少し先の方から、何か大きな吐息の様な物が聞こえ
その方に目を向けると、ツベフォフは
静かに目を閉じ、一つ息を大きく吸い込み
目の前の小川を飽きる事無く
ただ、見ている―――――
「(・・・・)」
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