第二十一話 「закрытый мир(閉ざされた世界)」
"チチッ チチチッ!"
「здесь!
(ここは....!)」
「・・・"закрытый мир.
(・・・ザクーティェ・ミー、
"閉ざされた世界"だ―――...)」
「закрытый мир.
(ザクーティェ・ミー....)」
"キィ キィ キィ"
"チチッ チチチッ"
「(ガラス張り――――
一言も発さず奥へと進んで行く
ツベフォフの後をついて、隆和が
しばらく暗い洞窟の中を進んで行くと、
自分の先を歩いていたツベフォフが突然足を止める
「・・・・」
「・・・・?」
"スッ"
「(・・・・!)」
「・・・・」
何も無い、先へと続く暗い、洞窟の通路で
ツベフォフが立ち止まった事に隆和が
不審な顔を浮かべていると、ツベフォフは
その何も無い目の前の空間に向かって手をかざす
「・・・・!」
「・・・ガ、ガラス―――?」
「・・・
"スッ"
ツベフォフは、目の前に現れた巨大な
ガラスの壁に手を当てると
なぞる様に自分の手を
ガラスの四方へと這(は)わせる....
「(・・・?)」
明かりがあまり無いせいか、
見通す事は出来ないが
「・・・?」
"チチッ"
「・・・・!」
"ギィ―――
「(・・・・)」
薄暗く見えるそのガラスの壁の向こう側には、
何か、ぼんやりと植物の影の様な物が見え
更にその壁の向こう側から
"動物"の鳴き声の様な物が聞こえて来る
「(・・・・)」
目の前に現れた呆然とした
巨大なガラスの壁に戸惑っていると
"スッ"
"キィ...."
「・・・・」
「あ....っ」
ツベフォフはその透明なガラスに
手を当て、そのまま何も言わず
ドア状に開いたガラスの中へと
吸い込まれる様に消えて行く...
「・・・・」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
"ギィッ"
"チチチッ"
「здесь,
(こ、ここは...)」
「・・・・」
"ザシャッ ザシャッ ザシャッ ザシャッ
「("森"―――)」
地表から遥か底、
得体の知れない口を開けた物の様な
暗い場所に現れた、ガラスの壁の向こう側へと
足を進ませるとそこにはロシア、
遥かシベリアの大地を思わせる様な
まばらな雪景色、そして葉の尖った
背の高い木々が頭上を覆い隠す様に
地面から天井へと連なる様に伸びているのが見える
「ギイッ」
「っ・・・」
隆和、そしてツベフォフの少し先を
得体の知れないくすんだ毛並みをした
動物が横切っていく
「(――――!)」
「ブフッ」
「・・・кабарга,
(・・・カバルガー...)」
「"кабарга".
("カバルガー"....)」
"チチッ チチチッ!"
「ブルルッ....」
目の前に広がる、まるでシベリアの地表から
そのまま繋がる様に広がるこの場所。
「(・・・・)」
厳しい寒さの中に残る、
雄大な自然の造形にも隆和は驚かされるが
「ギィー....」
「―――ブホッ」
この、地下の辺鄙(へんぴ)な場所には
一面緑の木々や葉が生い茂り
その中に、動物や、昆虫が幾思も
犇(ひし)めき合う様に
暮らしている姿が窺える...
「・・・・」
「・・・!」
"ザッ ザッ"
「・・・・」
"ザシャッ ザシャッ"
「(あれは―――...)」
「"бурундук".
(・・・"シマリス")」
「"бурундук"
(・・・シマリス...)」
目の前に現れたカンガルーの様な顔をした
鹿に戸惑っていると、少し先の
ぽつり、ぽつりと並ぶ様に生えている
松の様な木の側に、一匹の
"リス"が自分達の前を通り過ぎ
どこかへと消えて行く
「チチッ! チチチッ!」
「・・・・!」
「チッ!」
「(・・・・)」
「・・・・」
"ザッ ザッ ザッ ザッ――――...."
「・・・・」
特に、自分に何か言葉を掛ける事も無く
先へ、先へと進んで行く
ツベフォフの後姿を追いながら
「(・・・中根にこっちに
送っといてくれとは言ったんだが...)」
隆和は、地下施設から出て行く時に
部下の中根に頼んで置き配をする様に言い聞かせた
"トゥルーレジェンズ3 逆襲の疾風(かぜ)~
の配送状況の事を考えていた...
「(麻衣っ....!)」
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