第十九話 「остаточный свет(残光)」

「・・・・!」


"ガシャッ ガシャッ ガシャッ!"


「下まで―――....」


"ガシャッ"


"ヒュオオオオオオオオオオ...."


突然、洞窟の中に現れた


まるで下を見通す事ができない程


巨大な穴の中へツベフォフが降りて行くのを見て、


隆和は壁際に螺旋状に掛かっている吊り橋を、


ツベフォフが灯しているであろう


照明の明かりを頼りに、慎重に降りて行く...


「さ、寒いな....」


"ビュォォオオオオオ...."


あまり広くは無い壁際に沿った、


穴の奥底へと続いている吊り橋を


下へ、下へと降りて行くと


底から吹いてくるのか冷たい地下の冷気より


更に冷たい風が自分の頬に吹き付けて来る


「(・・・・・)」


"ガシャンッ ガシャンッ ガシャンッ....


「(・・・・っ)」


"ガシャッ ガシャッ.....


「(ど、どんどん下に―――....


徐々に薄く、途切れる様に穴の底へと消えて行く


自分の眼下の明かりを見ながら


「(・・・・っ)」


携帯のライトを付け、徐々に消えて行く


小さな"光"を追い奈落へと誘われる....


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


"ザサッ"


「・・・・!」


十分余り経った頃だろうか


「(・・・・ここは...)」


徐々に薄くなっていく光を追いながら、


ちょうどその明かりを完全に見失った頃、


今まで続いていた螺旋状の吊り橋が突然途切れ、


足元、そして辺りに雪が見える"地面"へと


隆和は降り立つ....


「寒いな....」


吊り橋を渡っていた時よりも、更に強い寒気を感じ、


思わず自分が降りて来た吊り橋を見上げる....


「(・・・・)」


穴があまりにも大きすぎるせいか、


顔を上に上げると


そこにはただ暗闇が広がるばかりで、


天井を見る事はできない


「・・・・」


"ザッ"


「(ここが、"底"なのか....)」


"ザッ ザッ ザッ ザッ....


「・・・・」


地面に降り立ち、携帯の明かりを頼りに


周りの景色を伺うと


「(ツベフォフ....)」


どうやら、先程まで追っていた


ツベフォフの姿を見失ったのか、


広い、冷たさだけが残る暗闇の中で


地面に微かに積もる雪を踏みしめながら、隆和は


携帯の明かりで周りの壁や地面を照らす....


「Любопытство», кажется,


 есть у всех...

("好奇心"と言う物は、人であるなら、


 誰しも持っている様だ....)」


"ザッ!


「Цвефов.

(・・・ツベフォフ氏...っ)」


「...ты пришел за мной.


 Аймои, да―――――?

(・・・私の後を追って来たのか....


 "エイモイ"


 よ――――?)」


「(・・・・!)」


突然、暗がりの中から姿を現した


ツベフォフに、隆和が後ずさる!


「Аймои, да?

("エイモイ"、よ――――?)」


「・・・・!」

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