第十八話 「отверстие(穴)」

「――――ハッ!、ハッ、ハッ、ハッ!」


道を見失っていた所に、


突然ツベフォフの姿を確認し、隆和は


慌ててその後を追って行くが....


「(い、行き止まり――――)」


"ビュォォォオオオオオオ――――


「(ど、どこだ・・・)」


"ビュォォォオオオオオオ―――――


「・・・・ッ」


ツベフォフの後を追って、それ程長く無い距離を


小走りで駆け出すが


「("風"――――...)」


"ビュォォオオオオオオオ――――"


「(・・・・!)」


突然自分が歩いていた金属で出来た


通路がブツリと途切れ、立ち止まると


自分の目の前に土で出来た高い壁が現れる....


「(・・・・!)」


頬に"風"の様な物を感じて、


思わず風の方に振り返る


「(・・・・!)」


"ビュオオオオオオオォォォォ.....


「(これは・・・)」


"コッ コッ コッ コッ―――――


自分の左側に空いた、風が吹き付けて来る


小さな縦穴の様な場所に


身をかがめながらその中へと入ると


「(・・・・)」


"ビュォォオオオオオオオオオオ――――!"


その、縦穴を抜けた先に


遥かに暗い地面の底が見える


巨大な、"穴"が姿を現す・・・


"ギィ... ギィ...."


「(・・・・!)」


"ビュオオオオオオオオオッ


思わず自分が立っている吊り橋の様な


木で出来た橋の上から、目の前に広がっている


巨大な"穴"を隆和が見下ろす....


「(・・・どこまで続いてるんだ?)」


"ビュオオオオオオオオ―――――ッ


「(・・・・!)」


"ガチャッ ガチャッ!


「(ツベフォフ・・・・!)」


「・・・・」


"ガチャッ ガチャッ!"


今、立っているこの吊り橋がある


"穴"は巨大な、円周が優に


何百メートルもあろう程の広さで


遥か下まで続いており、この吊り橋は


その巨大な穴の外壁に沿う様に


螺旋状に遥か底、地中奥深くまで


続いている様だ....


「(・・・・!)」


外壁をぐるりと囲んだ穴の中程にある


吊り橋を見下ろすと


「・・・・」


"ガチャ ガチャ ガチャ ガチャッ―――...


「・・・・!」


その場所に、先程まで


プラント区画内の通路を歩いていたツベフォフが


何か自分の足元を照明の様な物で照らしながら、


巨大な穴の奥底へと吸い込まれる様に


消えて行くのが見える....


「・・・!」


"ガチャンッ ガチャンッ ガチャンッ ガチャンッ"

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