第十七話 「теряться(迷う)」
"ガタッ!"
「・・・ダメだ、まるで分からん」
"ドサッ!"
「(大体広すぎるんだよな... この施設)」
すでに、このАбсолютная-Øで
隆和が土木作業の様な仕事をする様になってから
三カ月程が経ったが
「(周りにもロシア人しかいねぇし....
よく分からんな)」
"シュボッ"
「・・・ふー...」
ここの所、心和と称される時間に
ある程度ジョギングを行っていたせいか、
体力は多少ついた様に感じるが
「(・・・歩くのは
元々好きじゃねえんだよなー...)」
"ジジッ!"
「・・・いやー 広い。」
どうやら、あまりに広すぎる
このプラント区画の構造に
道に迷った事を自覚したのか、
引いていた一輪車を壁際に寄せると、隆和は
その脇の金属製の床の上に腰を下ろし、
胸ポケットから取り出した煙草を口元へあてがう
「フー....」
"スウウウウウウゥゥゥゥゥ..."
「(・・・まあ、ちょうど
休憩になっていいか.....)」
"トンッ トンッ"
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「寒みいなー」
"ポイッ"
「(こっちに来てから...
もう、けっこう経ってるよな...)」
"ヒュンッ"
地面に煙草を投げ捨てると、適当に
自分が投げ捨てた5、6本程度の
吸殻の数を数え始める....
「(確か、トゥルレジェの2が発売したのが
去年の...秋頃だったか...)」
"スウウウウゥウゥウゥウゥゥゥ.....
「(つー事は、上(地上)じゃもう、
"3"発売してるハズだよな...?
中根―――)」
"ヒュンッ"
「・・・・?」
"ザザッ"
「・・・・??」
"ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ....
「(あれ・・・)」
「・・・・」
"スッ"
「(ツベフォフ氏・・・・)」
"フゥッ"
「(何だ・・・?)」
煙草を吸いながら地面に寝そべり、
新しく発売するトゥルレジェの3について
考えていると、暗い金属壁に覆われた通路の先に
この施設の責任者である、
アルフォンソ・ツベフォフ
が脇の通路から突然現れ、自分がいる通路を横切り
そのまま奥へと消えて行く....
「・・・・!」
"ギュッ ギュッ"
「(ツ、ツベフォフ・・・)」
"ダッ!"
「・・・・」
ツベフォフの後姿を確認すると、
そのまま煙草の火を金属の床に押し付け、隆和は
慌ててツベフォフの後を追って行く....
「(つ、ツベフォフ氏・・・っ)」
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