第十話 「спокойствие духа(Я)心和(Ⅰ)」

"グオオオオオオオォォォォ....


【Значит, Лебедева будет


 работать с нами с


 сегодняшнего дня по


 поручению Наканэ?

(それじゃ、レベデワは、中根に代わって


 今日から俺達と一緒に働くって事か?)】


【Вот так...

(そうなるわね・・・)】


「(レベデワ・・・・)」


"ダンッ! ダンッ ダンッ ダンッ


「(・・・・)」


"ダンッ! ダンッ ダンッ ダンッ―――


♫   


  ♬ 


♩      ♪


「(し、しかし―――


Абсолютная-Ø、トレーニングルーム。


室内に、おそらくロシアの曲であろう


クラシック音楽の様な音が聞こえる中


「(・・・・)」


"ピッ"


隆和が、自分達が普段宿泊している


Абсолютная-Ø内にある居住区画から、


ポジショナー変電設備試験場を挟んだ


先の区画にあるこのトレーニングルームにある


ルームランナーで汗を流していると


「(скорость[速度]...


  9くらいでいいか...)」


"ピッ ピッ"


「・・・・」


"ダンッ! ダンッ! ダンッ ダンッ


「(・・・・)」


隆和は、そのルームランナーに設置された


ボタンを押し、マシンのベルトの速度を上げる....


「(だりーな....)」


すでに、二カ月程の間


Абсолютная-Ø内


"Раздел поддержки"

(ラジエル・ポディエシュキ=サポート区画)


と呼ばれる区画内にあるトレーニングルームの中で


"心和"と呼ばれる講習の時間に、


隆和はその心和の講習の評価対象の一つとなっている


"ルームランナーのジョギング"


と言うあまり日常の業務とは関わりの無い行動を


定期的に行う様になっていた....


「――――はっ ハッ....」


"ダンッ! ダンッ ダンッ ダンッ―――


「(・・・?)」


"ウイイイイイイイイィィィ....


快調にルームランナーの上で


ベルトの流れに乗りながら走っていると


殆ど明かりが無い、ヒヤリとした室内の隅の方に


ここ二カ月程この施設内で


共同で作業をしている同じく、


隆和の会社藻須区輪亜部新聞社から


出向して来たダリア・レベデワが、


部屋の隅に置かれたテーブルに


座っているのが見える


「・・・・」


"ピッ ピッ"


「(・・・・!)」


当初、二カ月前、林、そして


自分の部下である日朝の社員


中根 学と共にこの施設に入った隆和だったが


【・・・寒いし、腹減ったから帰りますわ!】


【お、おい、中根・・・!】


【何か今、江母井編集長が


 こっち(モフソゴルロフ)に来てる代わりに、


 河野総局長が第四編編集局の


 編集長代理になったみたいなんスわ。】


【こ、河野総局長が....!】


【それに、編集長代理だけじゃなくて、


 藻須区輪亜部新聞社全体の


 支局長にも就任するみたいですね】


【・・・支局長...】


「(・・・・)」


"ウイイイイイイィィィィ――――――


「(俺がこっちで働いてる間に


  河野先輩が編集長に....)」


"ピッ! ピッ!"


"ウイイイイイイイイ


「(・・・・!)」


自分が乗っているルームランナーの速度を上げると


「(いつ帰れるんだ・・・?)」


隆和は、徐々に薄くなっていく自分の


"立場"の事を考えていた....


「(・・・・っ)」

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