第5話 くろがねのたまうさぎ。
たまうさぎ?ぎょくと?月の兎をイメージしたというお酒が多くてふざけていくつか買ってみた。チャンポン、悪酔い確定。今日はマコトの部屋で女子飲みだ。初めて部屋で飲む。ルカはあんまり飲めないから、マコトとふたりで飲むことは多い。マコトの方が強いから、いつか私が失恋して酔いつぶれた時はとてもお世話になった。ルカもよくつぶれるらしい。今日は泊まるところも決まってるから、好きに騒いで飲める。
思ってたよりもずっと可愛いもので溢れた部屋で、ニヤニヤしてしまう。あれ、兎いないな?
「いいじゃない、ほら!」
「いや、ヤバいって、ほんとむり!」
「マコトー?」
なんか男の人の声聞こえるんだけど
「これうさちぃ」
「あ…ども」
「う、うさぎ?」
兎のうさちぃとして紹介された男の人は流れるような仕草で土下座した。
「神でも月でも何に誓ってもいいんで!けっしてやましいことはなにもしてません!だましてません!!すいません!!」
「いやいや、誰!!?ねぇ、マコト!どこが兎なわけ!?」
「え?兎っていうのよ?」
「俺の名前兎っていうんです、田中兎。飲み会終わりに道端で寝て起きたらここで、飼われないかって話になって、ちょうど住むとこ困っててて」
「あんたいくつ!?仕事何してるの!?ご飯どうしてんの!?」
「21です!大学生です!俺作ってます!」
「あははっおもしろっ」
「おもしろくないっ!」
月の調査隊マコトの実験台になった可愛そうな兎くん…困った…
黒き鏡の玉兎。 新吉 @bottiti
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