第4話 赤き鏡の玉兎。

 好き

 必死になっているのが伝わる、マコト。怒っているような私に嫌われたくないとかではない、ストレートに自分の思いを伝えている。


「おうおう、うちも好き、って照れるわ!」

「同性同士で使わないもの?」

「そんなことないルカだいすきーってよくいう」


 わかってるのに聞く私も少し悪い。


「それに別に怒ったわけじゃないし好きだよって今言わなくても」

「今じゃないとダメだなと思った。好きってことを感じられる、人間の感情がわかる今、全てを無視しちゃいけないなって、思ったの。どうやってこんなものをしまいこんでるの、みんな、すごい。言葉にならない」


 眩しいなあ。そう思った。月の光は優しいだなんて誰がはじめに言ったんだろう。眩しいし儚いし、消えてしまいそうだ。いつか彼女はかぐや姫のように消えるんだろうか。彼女が消えるとき、ルカはどうするんだろうか。


「マコトがただただ人間じゃないことを実感していく日々だよ。仲良くなればなるほど」

「私もそう、ルカといると私人間になって…なれないけど、なっている気がする。それを気づかせて引き留めてくれるのがあなた」

「どういう意味?」

「細かいことをわからないまま進んでいる。それをマミはきちんと正そうとしている。丁寧。ルカとは違う。そうして私は学んでいるのよ。受け入れることが全てじゃないこととか、生き方というか、仕組みというか社会というか。ルカが危なっかしいのはそういうことでしょ?」

「いえす」

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