第3話 黒き鏡の玉兎。

 マコトと私はルカによってつながれた関係だ。世捨て人と世渡り上手、確か初めに呼んだのは嫌みなワッダー先生。世迷い言をいうのがルカ、世間知らずの能天気バカ。あいつはすぐダメになるぞって2人でつるんでいるとよく言われた。つまり私たちがルカを甘やかしているといいたいのよ、この人は。マコトにそう話すと彼女は驚いた。


「あの身の程知らずはそんなことを話していたの?」

「絶対そうだよ、てか身の程知らずって」

「あの人のことよく言ってる人はいない」

「まぁね。でも教え方はうまい」


 目をまん丸にして、驚くマコト。

「マミ、あなた本当にそう思っているの?」

「え?う、うん」

「つまりはここはダメだけど、ここはいいってことね、あなたはほんとうにできた人、できている人間」

「人間は欠陥だらけだよ、できた人なんていないの」


 つっけんどんに返してしまった。それでもマコトは変わらない。人間じゃないから。


「人間は私たちからしたら奇跡のような存在。不安定で不確定、定まらない。それを進化や成長といえる心。大人も子どもも関係ない。人間らしい不安と安心。徹底的に叩き込まれていく多様性に調査隊はついていけない。いろんな人がいる、十人十色。言葉は難しい。わたしがマミに言いたかったのは、欠陥なんてことじゃなくて」

「わかってる、わかったよ、大丈夫伝わってるよ」

「伝わってる?言葉をつかえてる?あなたが好きよ、ルカももちろん。マミ、あなたのことが好き」

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