第4話 三島由紀夫、万歳! ちゃんと読みやがれ!

20:22




わたしは、静かに、神田佐久間町で本を読んでいる。


わたし、が、静かにしていても、外は酩酊者の声で大変な賑わいである。


わたし、は、三島由紀夫の『天人五衰』のページを、めくる。




三島由紀夫。


説明は面倒であるから、wikiをコピペする。


興味のある人は、いろいろと研究書も出ているし、調べてみるといい。


割腹し、介錯をうけて、首の床に落ちた、世界で、唯一の小説家である。




抜粋。




三島 由紀夫(みしま ゆきお、1925年〈大正14年〉1月14日 - 1970年〈昭和45年〉11月25日)は、日本の小説家、劇作家、随筆家、評論家、政治活動家。本名は平岡ひらおか 公威きみたけ。




戦後の日本文学界を代表する作家の一人であると同時に、ノーベル文学賞候補になるなど、日本語の枠を超え、日本国外においても広く認められた作家である[1][2][3]。『Esquire』誌の「世界の百人」に選ばれた初の日本人で、国際放送されたテレビ番組に初めて出演した日本人でもある[4]。




代表作は小説に『仮面の告白』『潮騒』『金閣寺』『鏡子の家』『憂国』『豊饒の海』など、戯曲に『近代能楽集』『鹿鳴館』『サド侯爵夫人』などがある。修辞に富んだ絢爛豪華で詩的な文体、古典劇を基調にした人工性・構築性にあふれる唯美的な作風が特徴[5][6]。




晩年は政治的な傾向を強め、自衛隊に体験入隊し、民兵組織「楯の会」を結成。1970年(昭和45年)11月25日、楯の会隊員4名と共に自衛隊市ヶ谷駐屯地(現・防衛省本省)を訪れ東部方面総監を監禁。バルコニーで蹶起を促す演説をしたのち、割腹自殺を遂げた。この一件は社会に大きな衝撃を与え、新右翼が生まれるなど、国内の政治運動や文学界に大きな影響を与えた[7][8][9](詳細は三島事件を参照)。




満年齢と昭和の年数が一致し、その人生の節目や活躍が昭和時代の日本の興廃や盛衰の歴史的出来事と相まっているため、「昭和」と生涯を共にし、その時代の持つ問題点を鋭く照らした人物として語られることが多い。




ということであるらしい。




わたし、は、彼とは中学3年生の時に出会った。


彼の、生首の写真を初めて見たときは、ほんとうに、驚いた。


なぜなら、その顔が、なぜか、じぶんの、知り合いにそっくりだったのだ。


わたし、が、初めて読んだのは、春の雪、という作品だった。


確か、竹内結子が主演で出ている映画があったと思う。


彼女が、死んでしまったことも、かなしくて、本当は書きたいが、今日は、やめておく。




三島由紀夫と、わたし。




むかし、こんな文章を書いたことがある。




わたしの、かいた、文章の抜粋。




 …0:23




 俺と彼とは、一連の鎖のように意気投合して、四十五歳の彼と年は違うにしても、酒の好みから、文学論から、人生論まで、一貫して意見は一致して、互いに少しも退屈しなかった。


 三島由紀夫は実に愉快な男であった。


 われわれは、仲よく互いの目や鼻に唾をひっかけ、飛ばし合い、又、たえず煙草の煙をぶつけ合って、芸術的雰囲気を無視した雰囲気に浸っていた。


 俺はあらゆる彼の話に問いを投げかけ、たびたび驚いたように笑われるのだった。


「君は、そんなことも知らないのかい」


 と笑う時があれば、つまらないことに熱心な溌剌をみせると、彼は…。


「それは、君のいうとおりだ」


 と、自分のいらだちに真面目な理解を示し、その上に我が言のように精緻な分析をうわのせして、ちゃんと返してくれたりした。




 …0:24




 俺のあらゆるいやらしさを、彼のひとつの崇高さが純化し、最上の読者のような優しさで、耳を傾けてくれたことに、少なからず感謝し、感動した。


「さっきの僕の定義のほかに、なにかまったく別の言葉で三島由紀夫自身を定義できるかい?」


 ロックグラスの氷をからんからんとならしながら、彼は言った。


「そんなの簡単ですよ。例えば、三島由紀夫はこういうふうにも定義できます」


 と俺は吸いかけの煙草を灰皿の上において、熱心な眼差しで即興で思いついた言葉を羅列した。


「三島由紀夫は、その存在そのものの源流へと果敢に帰還し、その存在そのもののアヌスから、夥しい数の受精卵を撒き散らしたという意味において、その存在そのものは、まさに鮭的であった」


 と大真面目に俺は言ったのだった。


 …0:25




「だははははは」


 と彼は手を叩いて、大笑いしながら、足をばたばたとさせて子供のように喜んだ。


「なら僕は、あの故郷の忘れられないサーモンというわけかい?」


「ええ、そういうことです」


「寿司で一番僕の好きなのはサーモンなんだよ。あれは実に安上がりで、その上脂がのっていて、うまいんだ。もったいぶらない味なんだな」


「あれはうまいですね」


「しかし、あのサーモンの帰郷の本能は、本当は自然的自殺の本能だと思うなあ。つまり、あれは鮭の自殺なんだよ。そういうことでいくと、桜だって同じさ。桜の花びらが散っているのは、あれはひとつひとつが自殺しているんだ。我々がそれをみて、感動するのは、自然的に消滅しているからではなく、本質として、桜の花びら一枚一枚の自殺の意志に感動させられてるのさ」


「三島由紀夫は、サクラみたいな男でしたね」


「山桜かい?」


「いいえ、三島さんはセイヨウミザクラですよ」


 と俺はいった。


 そして、また二人して笑った。




以上、ここまで、続きは、ものすっごおおく、ながいから。




とにかく、わたし、は何度も自分の作品に幽霊の、三島由紀夫を、登場させたのだ。




三島由紀夫は、偉大な作家である。




三島由紀夫、万歳!




今日は、このくらいにしておく。


たぶん、これから、もっとながくながく、ここに書くと思うから。


だから、ねえ、みんな、ちゃんと、読んでよね?




『ちゃんと読みやがれ!』




わたし、は、また、むしゃくしゃしてきたから、破れた、みじかいスカートを、はいて、パンツをみせびらかして、神田佐久間町の『新時代』で、きょう、も、のむ。




仕方ねえ!


やってらんねえ!


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