運び屋は思い出を運ぶ

香る風の木。運び屋-風猫-開店です。


「ごめん下さい。」


「ようこそ。風猫へ、本日はどの様なご用件で?」

ご老公を席に案内する千夜を横目に。新聞を読む。

内容は売春婦と娼婦を一緒にするな、という物だった。


「木を運んで欲しいんじゃ…」

木とは珍しい


「ほう、木ですか…。具体的にはどの様な木でしょうか?」


「風の木じゃ」

風の木ってのはその名の通り、風を起こす木である。


「面白そうやん、ご老公!。受けたるわ!で?大きさは?樹齢は?どうなんや?」

千夜の体を押し退けて俺は聞く。


「大きさは分からんのう。樹齢はざっと200年程かのぉ。」


「おいおい、ご老公言っとくけど、風の木の樹齢はせいぜい50年やで」


「いや、わしは見たことがある。あの立派な幹を、葉を、な…」


「フーン。まぁ良いや、受けたる。報酬は後払いでな!」


「頼んだよ…」

ご老公は帰って行った。


「しかし本気ですか?あの依頼を受けるなんて。樹齢200年はおろか、100年の物さえ見た事ないですよ。」


「ええやん×2。なんでも運ぶのが仕事やねんから。」


「どうなっても知りませんからね…」

そんな千夜のボヤキを無視して新聞に戻る。

売春婦と娼婦どっちも違法じゃボケという事が書かれていた。

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異世界運び屋 由良戯 @dke3050

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