不倫の手紙はダンスを運ぶ
俺たちは民家の屋根を足場に、跳び回っていた。銃弾を回避しながら…。
「なぁ千夜!俺たち…あぶねぇ!…手紙を届けた…!だけだよなぁ!」
「そうです…ねっ!。ですが…こうして!、追われているのも!事実です!」
「待てお前らぁ!」
「うへー堪ったもんじゃねぇ…よっと!」
そう言いながらギリギリで銃弾を避ける。
時には、自前の銃で撃ち落としながら避ける。
回転して避ける。
蹴り返す。
「まったく。なんで、こんな夜にタップダンスをするってんですか!」
向こうも、ジョークを言う位には、余裕があるらしい…乗ってやるか。
「確かに。月光に、照らされながらのダンスってのも洒落てるねぇ。曲は銃声と跳弾音の
「何言ってんですか!このままじゃ消耗する一方ですよ!」
千夜の言うことにも、一理ある。
さて、どうしものかやら…
「てかさぁ、あの手紙何やったん?。王様に届けて、読み始めたかと思ったら、いきなり騎士団仕向けてきたけど!…そらっ!」
銃弾を蹴り返しながら尋ねる。
「中身を覗いた時。チラッと、見たんですけど隣国の王子と、うちの王妃の不倫に関する物でしたよ…!。有体に言えば、早く貴方に会いたい…や、愛し合いたい…、みたいな物でしたよ!。」
空中で体を捻りながら千夜が答えてくれる。
そりゃ、王様も騎士団仕向けるわなぁ…
こんな物運んできた奴が、行商人っぽい服装してたら尚更や。
弱味握られて、足元見られる前に、潰さなあかんからな。
「貴様ぁ!!!内容をペラペラと話すんじゃなぁい!!──────ッ!」
「五月蝿いなぁ。騎士さんさぁ、黙るって事できひんの?。」
近隣住民に対して、迷惑この上無い騎士の脛に銃弾のプレゼント。
致命傷にはならないが、馬鹿程痛いので暫くは静かになるやろ。
「──────!〜ーー〜ー!?」
声が出ない程、プレゼントが嬉しかったらしい。転がって喜びを表現してくれている。
「店長!どうします!?このままじゃ、【戦車】呼ばれて、面倒くなりますよ!。」
ここの世界で言う【戦車】は、馬に【戦術的魔導砲】を台車に乗せて引かせる物だ。
「せやなぁ。そろそろダンスも飽きたし【閉店】しよか。」
「分かり…ました!」
短剣で防ぎながら返答をしてくれる。
「では!。騎士団の皆々様方!もっと遊んでいたいのですが、店員が限界なのでこれにて帰らせてもらいます!ではこれにて【閉店】!」
──────夜が明けて──────
店にて
「今頃王都は、どうなってるですかね。」
「さぁねぇ、でも何ともなってないんじゃない?」
俺が使った【閉店】は、姿が見えなくなるスキル。職業『運び屋』の能力の1つだ。
「国としても、王妃の不倫なんて隠しておきたい事No1やろうし。 大っぴらに手配!とかは無いと思うで。精々一部の騎士に、要注意人物として伝えられる位ちゃうか?」
それぐらいしか穏便に済ます方法がないしな。
「というかあの手紙を持ってきた、少女は何者なんですか?。」
「反現王派の貴族が雇った闇ギルドの者ちゃうか?。それかシンプルに郵便の落とし物を拾った少女かやな。」
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お久しぶりです。
由良戯です。
久々に小説を描きました。
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