第7話 224番フランケンレデイ(ゼルダ・ヒルトマン)
食堂でパイプを吹かし終え、覚悟を決めて螺旋階段を下りる。
地下の錬金術室の扉の前には俺の怪物が立っていた。
「博士、私に手伝える事はありませんか?(●)(●)」
「オマエに話しただろ? 俺の『代償の錬金術』はオマエでも危険だ。 何があっても絶対に中に入ってくるな。 これはオマエの身の安全のために言っている」
「分かりました(●)(●)💧」
「それと……本当にゼルダの頭部とガリアナの胴体を繋げれば合格で良いんだな?」
「二体を合わせれば100点です。 私の花嫁には一切の妥協は許しませんが、さすが博士です、合格です(●)(●)」
「なら、今から首を繋いで魂を復活させる」
「博士、復活の錬金術の成功を祈っています(●)(●)」
「俺を誰だと思っている?」
「私を、この世界に運んだフランケンシュタイン博士です(●)(●)」
「オマエは、自分の花嫁の誕生を心待ちにしてろ」
「はい(●)(●)」
鉄の扉を開けて、先祖代々からの錬金術室の中から扉の重い鍵を回してガシャンと掛ける。
「こんな扉、怪力のアイツ(俺の怪物)には無意味だろうけどな」
赤と青の隣り合わせの魔法陣の、赤の中心に置かれたゼルダとガリアナを見る。
壁の棚からメスとノコギリと
そして、俺が母から受け継いでいた回復寄生虫『ウロボロス』を……
「はじめるか」
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「あのギロチンの異様な鋭さのおかげで動脈・神経・骨の接合縫合がスムーズだった……」
物理的作業は無事に済んだ……
俺の怪物のリクエスト通りに胴体と顔にツギハギは無し。
だが……
魂の復活の錬金術には生きている人間の体の代償が必要。
もちろん俺は生贄になる人間を用意する気など、さらさら無いから俺自身が代償を受ける。
代償をうける者の価値と、その者へのリスクの大きさほど強さ(
今度は何がどれほど必要だ?
俺の怪物を造った時には、俺の身長20センチと前立腺(男性機能)が奪われた。
子供のころレインを甦らせた時には母が消えた……
俺はフランケンレデイの魔法陣の隣の、青の魔法陣の中心に両手を広げ横たわり、
「これで代償も最後だ、矢でも鉄砲でも来い」
目をつむると石畳から手が出てきてる?
胸を両手で抱かれる感触…… 優しく締め付けられる……
感触が消えた……
代償は終わったようだ……
立ち上がろうとするが……
体が重たく感じる……
もしかして運動神経をかなり奪われた?
大きな代償だったようだな……
立ち上がると…… 少し視力が落ちている?
視力まで少し奪われたのぁぁああ?
チラッと見えた俺の手? 手が!? 細くてシワだらけ!? 血管がはっきり浮かんでる!
まっ!? まさか!?
自分の今の姿を風呂場の鏡で確認するために、鉄の扉に急いでいるつもりだがこんなに遅い!?
しかも! 力が無いから! 元から固かった鉄の扉の鍵が重くて回せない!!
トントントントン
「いるか!? ハーデス!!! ハーデス!」
トントン
「いるなら返事しろ!! この扉ぶっ壊せ!」
シーン
「あの野郎……扉の前に居ない? 地上にいる?」
その時だった。
俺の後ろから、
「おいジジイ? なんの真似だ? アタシを
恐る恐る振り返る……
「オメエからぶっ殺す……≪🔵≫ ≪🔵≫」
フランケンレデイの立ち上がる姿……
俺にはモーツアルトのレクイエム「怒りの日」が聞こえる……
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