第4話江戸城脱出②

吉宗と爺は庭を散歩していた。

「爺、風邪の具合はどうじゃ?」

「有り難き幸せ。この有馬彦左衛門、今は平熱でございまする」

「なによりだ」

「まさか、上様がこの私を池に突き落とすとは考えておりませぬ。あれは、ハプニングでございまするなぁ」

「当たり前じゃ、爺。爺には長生きしてもらわねば困る」

「身に余るお言葉」


2人は池のほとりに来た。

小姓からエサをもらい、池に撒いた。

美しい錦鯉が、エサに群がる。


「のう爺、あの鯉は人面魚みたいじゃの」

「人面魚!懐かしい響きでございまするな、どれどれ」


爺が池に近付くと

「おっと」


バッシャーン


「う、上様。今回は完全にこの爺を池に突き落としましたな?」

「何を言う、小姓の腕を早う掴め!」

小姓が爺に手を伸ばすと、爺は腕にしがみついた。

すると、

「おっと」

小姓を押した。


バッシャーン


また、爺と今回は小姓も池に落ちた。

「じゃ、爺、アディダス!」

「ば、バカ殿が!アディオスじゃねえか!この爺、忘れませぬぞ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る