第3話夕食

「爺、南蛮渡来のビールが飲みたい」

「ははっ、上様はどのビールをご所望で」

「今夜は、バドワイザーだな」

「かしこまりました。厨番くりやばん、キンキンに冷えたバドワイザーをこれへ」

「はっ」


吉宗は薩摩切子さつまきりこに、バドワイザーを注ぐ。


ごくっ、ごくっ、ごくっ。

「うんめぇ、おい、酌しないか!」

「申し訳、ござりませぬ」

腰元は吉宗にビールの酌をした。

「爺、鯉はどうした?」

「ははっ、只今、お持ちを」

吉宗は鯉の洗いを酢味噌で食した。

「うんめぇ、爺、この鯉はどこで手に入れた?」

「江戸川で釣り上げたモノでございます。この有馬彦左衛門、少々熱がありまして、後は腰元に仰せくんさい」

「熱とな」

「上様が池に、この爺を突き落とされました故に」

「あれは、ハプニングじゃ。下がれ下がれ」

「有り難きお言葉」


「厨番、ビールもういい。チャミスルが飲みたい」

「ははっ」



「いや~、今宵も飲んだ飲んだ。おい、小姓、正露丸を出せ。腹が弱くての」

「只今、お持ちを」

「うわっ、クッセ~、でも効果抜群だからね」


その晩、吉宗は何度もトイレに走った。

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