童話
たまには文芸部らしいことをしろ、と言った顧問からの課題で私と先輩は協力して童話を一つ作ることになった。
とは言っても、童話のことなんて全く詳しくない私達。自分が読みたいものを全部合体させて書こうという気持ちが一致した結果、村人の娘が生贄として湖に落とされ、落とされた先で地底の国の王子と出会い、衛兵と娘が決闘をし、衛兵は負けたことを憎み魔女と契約をして娘を呪うものの、娘は鍛え上げていた筋肉と精神のおかげで呪いを跳ね返し、娘の強さに惚れた王子と結ばれるという話になった。
……童話とは? あれもこれもを継ぎ足しすぎて秘伝のタレみたいな内容になってしまった。まあ、私達が楽しければそれでいいのだ。私と先輩と顧問の三人しか読まない話なのだから。
中々面白いことが起きていると思う。中でも、呪いを返されたときの衛兵の間抜けな反応や、予想外のことをされて大喜びする魔女の反応は一番好きだ。笑えたりドキドキしたりする。
先輩は、最初娘に対して哀れみしか持っていない王子が彼女の強さに惚れて求婚しまくるところが好きだと言っていた。あの人は案外、少女漫画のような展開が好きだったりするのかもしれない。
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