第9話 エンターテイメント空間には危険がいっぱい

    (放課後の教室にて)


咲「やみこやみこ」


やみこ「なに」


咲「今度の土曜日、ユキとマナミといっしょに三ツ橋のグランドワンで遊ぶんだけど、いっしょにこない?」


やみこ「(警戒した様子で)ユキと、マナミ」


咲「うん。二人ともやみこと遊んでみたいって言ってたから、心配ないよ。予定ないなら行こ? ぜったい楽しいよ」


やみこ「グランドワンって、スポーツとかゲームとかができるところでしょ」


咲「そうそう。あとカラオケとかね。複合エンターテイメント空間、っていうのかな」


やみこ「でも複合エンターテイメント空間っていいながら、危険なものがいっぱいある」


咲「危険なもの? そんなのないよ。私もよく遊びに行ってるけど。ボーリングとか、バスケットボールとか、そんなのだけだし」


やみこ「気づいてないだけ。私にはわかる。あそこは危険が危なくてデンジャーがヤバい場所」


咲「いやいや、そんなことないよ……。じゃあ例えば、ボーリングは?」


やみこ「投げようとしたら指が抜けなくてその勢いでボールが顔面に当たって鼻を骨折するかもしれないからダメ」


咲「じゃあバスケは?」


やみこ「投げたボールがゴールのリングにあたってはね返ってきて私の顔面にあたって鼻を骨折するかもしれないからダメ」


咲「じゃあテニスは?」


やみこ「スマッシュされたボールが私の顔面にあたって鼻を骨折するかもしれないからダメ」


咲「じゃあ卓球は?」


やみこ「ボールを打とうと必死になるあまり足をすべらせてテーブルの角に顔をぶつけて鼻を骨折するかもしれないからダメ」


咲「じゃあローラースケートは?」


やみこ「よそ見している人が私の後ろからぶつかってきてお互い鼻を骨折するかもしれないからダメ」


咲「じゃあカラオケは?」


やみこ「ダメ」


咲「やみこ、いつもながら考えすぎだよ……」


やみこ「私はみんなの方が分からない。なんであんなに鼻を骨折する危険が潜んでいるところにわざわざ喜んで行くの。帰る」


咲「あっ、いいけどダメ!」

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