第8話 イケメン教師にはきっと裏の顔がある
(英語の授業前の休憩時間)
咲「(他の同級生に)英語の前田先生ってカッコいいよね~。え、東大卒なの!? すごーい! でも頭の良さを鼻にかけてないところがいいよね! ――ねえ、やみこはどう思う?」
やみこ「……なんのはなし」
咲「英語の前田先生、カッコいいよねー、っていう話」
やみこ「前田先生……」
咲「あれ、やみこはあんまり興味ない感じ?」
やみこ「前田、先生……まえ、だ……」
咲「えっ、やみこ? 急にふるえ出したりして、大丈夫?」
やみこ「ダメ……前田先生はダメ……」
咲「ちょ、ど、どうしたの? 前田先生がなんでダメなの?」
やみこ「あの生徒を射ぬくようなまなざし――あの教師は、きっと私たちの心が読めるに違いない」
咲「え」
やみこ「いつも問題を答えさせようと当てるその瞬間に、あいつは私たちの学力を読み取っているの。そして心の中でほくそ笑むんだわ。『ああ、こいつらやっぱり僕よりバカだ』って。そうやって中学生相手にひそかな優越感に浸ることがあの教師の最上の喜びなの。優しい笑顔にだまされて、私たちはナルシストでサイコパスなあいつの本性が見えなくなっているだけ……」
咲「警戒するにもほどがあるよ、やみこ……」
やみこ「そんなことない。だってあの教師、いつも意味不明の言語で話しかけてくる。『はうどぅゆうどぅ』とか『ないすとぅみーちゅー』とか。どうせ分からないだろって、私たちをバカにしている証拠」
咲「そういえばやみこ、英語すごく苦手だったよね……」
やみこ「前田先生、顔はタイプだけど性格が恐いからムリ。そして次の授業は英語。帰る」
咲「あ、待って! 結局タイプなの!?」
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