第7話 スマホは孤独の敵

咲「やみこもスマートフォン持てばいいのに。そうすれば『ソラノミライ』いつでも聴けるよ?」


やみこ「ダメ。私、スマホは持てない」


咲「あ、親が禁止してるとか?」


やみこ「ううん。親からは『あんた暗いんだから、友だちとつながれるスマホ一台くらい持っていたほうがいい』ってむしろ勧められてる」


咲「自分の娘に『暗い』ってはっきり言う親もどうなんだろう……。えっと、じゃあ、なんで持たないの?」


やみこ「スマホを持っていたら、いつでもどこでもだれとでも連絡とれる」


咲「まあ、街中ならだいたいね」


やみこ「そんなの私、耐えられない。いつでもどこでもだれかから連絡がくるかもって、そんな状況、ぜんぜん落ち着かない。スマホは孤独の敵。スマホは孤独の敵……」


咲「や、やみこ?」


やみこ「もし私のアカウントがだれかからもれて、知らない人から四六時中ラインがきたら……いたずら電話とかいっぱいきたら……。そんな心配するくらいなら、スマホなんていらない……」


咲「そんなことないよ。知らない人から電話とか、普通に使ってたらあり得ないから」


やみこ「でも逆にだれからも連絡がこなかったら、それはそれで私の友だちの少なさを再認識することになるだけだし、やっぱりムリ」


咲「連絡こないのもダメなんだね……」


やみこ「もうダメ。こんなこと考えてたらヘコんできた。帰る」


咲「だから帰っちゃダメ!」

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