第6話 イヤホンで洗脳?

    (イヤホンでスマートフォンの音楽を聴く咲)


咲「(口ずさむ)止まりたい~♪ でも止められな~いよ~♪」


やみこ「……ねえ」


咲「永遠のきら――あっ、やみこ? ごめん、イヤホンつけてて気づかなかった!」


やみこ「……ねえ、スマホでなに聴いてるの」


咲「えっ。やみこ、音楽には興味ないんじゃなかったの?」


やみこ「……私もそろそろ人並みの趣味を見つけようって、思ったの」


咲「へえ、意外……。あ、ううん! やみこだって努力してるんだもんね! じゃあ、これ聴くといいよ。すっごくいい曲だから」


やみこ「なんていう曲」


咲「『ソラノミライ』っていうの」


やみこ「そらの……ちょっと聴いてもいい」


咲「うん、もちろん! はい、イヤホン」


やみこ「…………うっ…………うっ」


    (やみこ、イヤホンを耳に挿そうとするが何度もためらう)


咲「どうしたの、やみこ。はやく聴かないと曲終わっちゃうよ」


やみこ「……やっぱりダメ」


咲「えっ」


やみこ「咲が聞いていたのはじつは曲じゃなくて、他人を洗脳するための記憶操作音だったら」


咲「……はい?」


やみこ「このイヤホンをつけたとたん、私の耳に『キーン』っていう音が聞こえて、そのとたん、私の意識が消えるの。目覚めた私はすでに記憶を改ざんされていて、この世の全ての中学校を支配する悪の組織の忠実なるしもべになっている。教師も生徒も思い通りに動かせる理想郷『ソラノミライ』を築くのだ、わはは、って……」


咲「や、やみこ。曲のタイトルからそこまで想像するなんてすごいけど、やっぱり考えすぎだよ……」


やみこ「私は悪の組織には加担できない。帰る」


咲「あっ、だからなんで帰るのっ?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る