第234話 地下迷宮ダンジョン侵略 7
前書き
戦闘シーンの説明に気持ち悪い表現を加えられております。
グロテスクな表現がある戦闘シーン。
虫などの表現を使っています。
苦手な方はお話を飛ばしてください。
次の話で決着なので、話としては理解できるように書かせて頂きます。
皆様が不快な思いをしないで楽しんでもらえるように、書きたいと思いますので、どうぞ、ご自身でご判断ください。
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画面の中では、ボクが試したい二つの作戦が同時進行で展開している。
防御は、マジックスライム、オーララビット、フェアリーウッドをゴーストに当てて、本来はボスとして登場するデススライム指揮官に添えたことでスケルトンの物量にも負けてない。
では、侵略側はどうなっているのか? こちらはアレシダス王立学園に侵入させた虫系の魔物を改良して忍び込ませた。
小さな虫の魔物は一匹一匹はそれほど脅威になることはない。
ただ、一つの能力を付与できるとすれば?
「あれはなんですか?」
エリーナが敵陣営を指差して声を出す。
「侵略を開始したようだね」
「凄い数の味方が敵陣地に侵入していきます。どうして、敵は止めようとしないのでしょうか?」
「う〜ん、あれは見ない方がいいと思う。女性にはおすすめしないかな」
物凄い少ないDMPで召喚できるのに、ボクが考えた戦略には最も優れている。
「後学のために見ておきたいです」
「わっ、私も」
エリーナとアンナの言葉に、ボクはカリンにだけ耳打ちをする。
「ひっ! わっ、私は遠慮しておくわ! 洗い物をしてきます」
「カリン様、それでは私もお手伝いします」
アンナはメイド気質を発揮して、カリンの手伝いに行ってしまった。
「リューク、それではお願いします」
「エリーナ、本当に見るの?」
「はい!」
本当は見せたくないけど、仕方ないね。
ボクの配下は、黒光りする世界中の人々から嫌われている虫だ。
「ひっ!」
画面に映し出される夥しい数の黒光り虫の魔物。
森では彼らは妖精として扱われる。
森の毒となる小さな微生物を食べてくれて浄化してくれる。その上で大きな魔物たちの餌になる。
「あぁ、やっぱり気絶しちゃったね。食べた物を戻さないだけマシかな」
ボクの心根である怠惰は変わっていない。
情報を集めるために自分の足で調べにいくこともあるが、戦闘は効率的に、かつ合理的に行いたい。
「見た目はあれだけど、彼らは優秀なんだよ」
ボクも見ていたいかと言われれば、遠慮したいけど。
元の世界でもペットにしている人がいるっていう話だしね。
黒光の小さな虫が大量に地下迷宮ダンジョンに侵入していく。
「あっ! ダン」
画面に映し出された。
ダンと、ムーノが虫に飲み込まれた。
うん。見なかったことにしよう。
一瞬で通り過ぎたしね。
物凄くゾワゾワするけど、見なかったことにしょう。
ボクは、そっと画面を消した。
「ふぅ、彼らの活躍は認めるけど、やっぱり見るのはやめておこう」
ボクはもう一つの作戦の方へ画面を切り替えた。
敵も力押しだけではないだろうと思って、各地に鳥の魔物を配置させた。
彼らには不測の事態に対処してもらう、罠的な役割を務めてもらっている。
落とし穴なども設置はしているけど、アレシダス王立学園の生徒が間違えて落ちるのは困るので、魔物を罠の代わりにした。
「こっちもうまく行っているようだね」
姿を隠して侵入したゴースト集団に鳥が飛来する。
「今回は、死人たちに効果がある光の魔法を応用した魔法陣を書いて魔力を流してある」
ミリルに魔法陣の研究をした際に見せてもらったものだ。鳥たちは咥えた札をゴーストに向かって貼り付けていく。
「ぎゃーーー!!!!!!!」
貼り付けられたゴーストが悲鳴をあげて消滅していく。
「うん。聖魔法と光魔法は、死属性には効果覿面だね」
防御陣営は、正面からの対処も、搦め手にも対応できている。
「さて、そろそろ仕上げといこうかな」
画面は地下迷宮ダンジョンのボス部屋へと移動させる。
「なっ!なんですかあなたたちは?!」
大量の黒光り集団が、閉まっているはずの扉を物ともしないで、部屋の隙間から侵入していく。
「ふん、虫風情が! 死霊王ディアス。やっておしまいなさい」
シータゲに呼び出されて、黒いローブを纏ったスケトルトンナイトが姿を見せる。
やはり最強の駒は手元に置いていたか、シータゲがダンジョンマスターだと知って、負ける要素は皆無になった。
「さぁ、どうなるかな?」
死霊王ディアスが魔法を詠唱して、虫たちに放った。
多少は被害が出たようだが、虫たちはシータゲと死霊王ディアスに接近する。
「虫に何ができるというんですか!」
バカはお前だ。
「爆ぜろ!」
ボクが画面越しに命令を下せば、夥しい数の虫たちが一斉に爆発を開始する。
それはシータゲや死霊王ディアスを巻き込んでボス部屋を破壊する。
爆風が晴れると、ズタボロになって倒れる死霊王ディアス。
そして、肉が飛び散りながらも生きているシータゲの姿が映し出される。
「うわっ! キモっ!」
目は飛び出し、半身が骨と化しているのに生きている姿はかなりグロテスクだ。
そして、ボスの部屋が吹き飛んだことで、その奥に見える部屋にダンジョンコアが見えた。
黒光の虫たちに爆発させるには惜しいので、最後の決着へと向かうことにした。
「エリーナ、起きてくれ」
「リューク?」
「やぁ、起きたね。大丈夫かい?」
「ひっ! だっ、大丈夫です。思い出すと辛いですが、あれは映像の中なんですよね?」
「そうだよ。まぁ現実に起きていることだけど、もう虫たちはいないよ」
「そっ、それなら」
そう言って画面に目を向けたエリーナはグロテスクな、シータゲの姿を見て。
「ひっ! キュー!」
「あっ!」
また気を失ってしまった。
「主よ」
「アンナか、君は大丈夫?」
「はい。気持ち悪くはありますが、気絶するほどでは」
「そうか。うーん、今回はボク一人で行ってくるから、二人はここで休んでいてくれる」
「申し訳ありません。カリン様に主が何を見せないでいたのか聞きました。私も殺せはしますが、大量にというのは」
「うん。まぁそうだね。じゃあ行ってくるよ」
「はっ! エリーナ様のお世話はお任せください」
「ふふ、うん。頼んだよ」
ボクは二人を残して一人で相手陣地へと足を踏み入れた。
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