第211話 ダンジョン日誌
〇月〇日
ダンジョン検証一日目
ボクは、新たな楽しみができたので、早速ダンジョンに訪れた。大規模魔法実技大戦が終わった後は、剣帝杯に向けて予選とかが始まると言う話だった。
ボクは騎士の称号を得られたので、優勝してもメリットがない。という理由で辞退することが許された。
ダンなどは、剣帝杯に出て力試しをするんだと言っていたが、どうでもいい。
ボクの興味は、ダンジョン一択に注がれている。
流石にボクだって、一年次の時にカリンに怒られた教訓は覚えている。
だから、ダンジョンの研究をするに辺り、クウとルビーを補佐として連れてきた。
どうしてこの二人なのかと言えば、三年次になると剣帝杯以外にもう一つ、卒業レポートなる物を作成する必要がある。自分の得意をまとめて、提出するのだ。
クウは二年次で、卒業レポートは無く。
ルビーは、冒険者についてまとめたレポートをすでにシーラスに提出したそうだ。
そういう僕も、魔法循環についてまとめたレポートをシーラスに提出したところ、興味を持ってもらえたようで一発合格をもらった。
本当はダンジョンの調査もシーラスに協力してもらおうと思っていた。
ただ、何かと教師の職業は忙しそうなので、またおりをみて誘うことにした。
〇月○✕日
結果から言うと、ダンジョンは最高だ。
もう一生ここで暮らしたい。
一日目に行ったのは、ダンジョンコアが保管されている部屋の空間を整えることだ。
前回は、簡易的に広げたけど、今回はボクの思う通りの部屋を作ってみた。
それもだ。
素材やイメージはボクが思った通りの物が作れる。
畳にベッド、本棚を置いた部屋を作った。
コタツも置いてみた。
そろそろ外は寒くなるので、コタツは最高だ。
「リューク様、どうしてわざわざ狭い空間を?」
「でも、この布団は気持ちいにゃ。もうここから出たくないにゃ」
台所も繋げてクウがお茶をいれてくれる。
狭い部屋出ると広い空間を作って、フラットな地面にした。
〇月○×日
そろそろ一週間になる。
ヤバい、ここはダンジョンはやっぱり魔境だった。
レベル二だからと舐めていた。
ボクらはどうしてこんなにもヤバいところに来てしまったんだ。
面白すぎる。
「リューク様! あれはなんですか?」
「うん? ああ空間を広げたから、バイクを作ってみたんだ。外には持ち出せないけど、ダンジョン内の素材と、ボクの知識を活かして、動力は魔力で走る魔導バイクってところかな?」
「バイク?」
ボクはエンジンをかけて、二輪を走らせた。
クウは、想像以上の速さに興奮して気に入ったようだ。ウサ耳メイドがウサ耳ライダーになってしまった。
「リューク様!すごく楽しいです」
「ああ、よかったな」
兎耳も収納できるヘルメットを作らないといけないな。
×月○日
一ヶ月が経った。
ダンジョンから出ると、作り出した物は消えてしまうようだ。
ボクのフィールドだけで使える特殊アイテムということらしい。
確かに、ダンジョンマスターの知識が発展していて、自分の想像した物が作れて持ち出せるなら、もっとこの世界が発展してもおかしくない。
ダンジョンがダンジョンを広げる理由がわかったかもしれない。
ダンジョンマスターになって、自分が作り出した物が好きに使えるスペースが増えるのは嬉しい。
×月○×日
温泉を作ってみた。
本当は森ダンジョンが一望できる露天風呂にしようと思っていたんだけど、流石にやりすぎかと思って自重した。
「温泉も気持ちいいにゃ」
「最高です」
クウ、君の胸はいつの間に成長していたんだい。
獣人たちが恥ずかし気もなく、ボクと混浴している。
ルビーはスレンダーで、引き締まった体をしているのに対して、クウは健康的な食事を摂るようになってから発育がいい。温泉のお湯で胸が浮いている。
研究を開始して二ヶ月が経っていた。
そろそろ剣帝杯が開催されていることだろう。
流石に籠りすぎて、みんなに会いたくなってきた。
×月××日
巨大なモニターを設置することにした。
音響設備もバッチリだ。
シアタールームは椅子とベッドの両方を完備して、巨大モニターで剣帝杯の様子を映し出している。
そろそろ寂しくなってきたので、卒業レポートが終わったと言った子を招待することにした。
ミリル
アカリ
リベラ
リンシャン
シーラス
の五人だ。
本当はカリンとシロップに声をかけたかったけど、剣帝杯中は色々と問題があるらしく、呼べなかった。
×月×○日
人数が増えたので、特大プールを作ってみた。
冬に入るプールなので温水プールにしたのだが、ボクは彼女たちの水着姿に眼福だ。
それぞれに似合った水着はボクが想像で作り出したものなので、イメージ通りの水着を着てもらっている。
モニターでは、ダンがはしゃいでいる。
シーラスが流石に剣帝杯の決勝リーグが始まる頃には戻ってほしいと言われたので、予選だけはみんなでみて、決勝リーグは会場に観に行くようにした。
□月○日
三ヶ月ぶりにシャバの空気を吸う。
怠い。ダンジョンに帰りたい。
遊んでばかりいるようだったが、ダンジョン内では魔力濃度の変化ができたので修行も行った。
ダンジョンを利用する者から奪う生命エネルギーや魔力などを、DMPとして奪って貯めていく。剣帝杯に活躍するためにやってくる者が多くいた。
森ダンジョンでモンスターを倒してレベル上げをしている生徒から頂いた魔力で、ボクはやりたい放題DMPを使いまくっていた。
ダンジョンは、内部を改変できるだけでなく。
フィールド全体を入れ替えたり、出現させるモンスターを選べたり、ボクの妄想を叶えたりと楽しいことだらけだった。
ただ、ボクが妄想したものと、ダンジョンが排出する物には大きく違いあり、ルールを詰めて理解していく必要がありそうなところも面白かった。
「さて、今年の剣帝杯は誰が残っているのかな?」
ボクは実況と解説が語るモニターへ視線を移した。
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