第183話 自分の気持ちに素直に
【sideアンナ】
私の目に狂いはありませんでした。
推しの尊さが限界突破です。
まさか、エリーナ様をけしかけてやってきたチリス領で、リューク様と奇跡の再会を果たしてしまうなんて、我が主人様ながらエリーナ様は縁をお持ちですね。
ですが、獣人三人娘に、強欲の娘など強力なライバルが増えておられます!
推しは流石のモテを発動して、圧倒的な存在感は天元突破としか言えません。
これでは我が主人様の影がどんどん薄くなってしまいます。
それでもマーシャル領へ突入する際に、リューク様は、エリーナ様を総大将として配慮をしてくださいました。推しの優しさが尊すぎます。
推しは、顔だけでなく性格まで推せます。このまま一生旅が続けばいいと思ってしまうほどです。ですが、いつかは終わりが来てしまうのが旅なのですね。
誰もが諦める天災に向かって対抗できる人間がどれだけいるというのですか?いくら魔法を極めてもそんなことができる人間はおりません。
「アンナ、そろそろ帰るわよ」
「エリーナ様。このままでよろしいのですか?」
「このままとはどういう?」
「今回、エリーナ様は完全に裏方です。リューク様との進展が全くありません」
「それは、そんなことなくてよ。リューク様に膝枕をして差し上げたし、一緒に寝るのも何度も」
「はい。ただ寝ていただけです!」
「そっ、それは」
ダメだ。
カリビアン領を出発する前に、私は決心することにしました。残り僅かで、カリビアン領のリューを発つことが決まった日。夜になれば、推しは誰かの部屋に消えてしまうので、目を覚ましてシャワーを浴びた直後。
「よろしいですか?」
「うん?アンナか、珍しいね。君が一人でボクに話しかけるなんて」
普段の私はエリーナ様の影です。必要とあれば推しのお世話をしたいと思っております。
ですが、シロップ様やクウ殿のような専属メイドが仕えておられるときは絶対にでしゃばることはありません。ですから、私のような者が推しに話しかけられるタイミングは。今しか存在しないのです。
「お話があります」
「エリーナのこと?」
「いえ、別件です」
「ふ〜ん。アンナには色々と世話になっているからね。いいよ」
私は、推しを自分の部屋へと招き入れました。
隣の部屋はエリーナ様が寝ておられます。
あまり私は笑顔を作りません。それは仕事をする上で必要ないからです。ですが、今の私は顔を朱に染めていることでしょう。
「それで話って。えっ?」
私はメイド服リボンを解いて、エプロンを床へと落としました。そのまま服を脱いで下着姿になります。レベルはカンストして、この身は自分でも信じられないほど均整の取れた美しい体へと成長を遂げました。
他の女性方々に比べれば、私の顔など見劣りしてしまうことはわかっています。
「わたくしに慰みを頂けないでしょうか?」
「どう言うこと?」
私は下着姿で、推し前で膝を折りました。
「エリーナ様は子供です。未だにリューク様にお慰みを頂けておりません。アンナは、リューク様をお慕いしております。エリーナ様共々セットでお慰みを頂きとうございます」
エリーナ様が言えぬのなら、私がこの身を持ってお伝えするしかありません。
「ふ〜ん。うん。知ってたよ」
「えっ?」
私は自分でも感情を表に出すのが下手なのです。私の感情に気づける方はほとんどおりません。
エリーナ様ですら、最近になって殺気に気づけるようになった程度です。それなのにリューク様は、私の感情に気づかれていた? 推しに好きだとバレていた?
猛烈に恥ずかしいです! 顔が熱い。穴があったら入りたいです。
「気づかれていないと思ったの? でも、アンナは慎み深くてエリーナを優先する態度をとっていたからね。ボクからはめん……いや、相手しなかったんだ。やっと自分の気持ちを言う気になったんだね」
もっと早く素直に伝えていればよかったのでしょうか? お側に控えている時もリューク様は、私を受け入れてくれていた?
「アンナ。君はボクに何を望むの?」
「私は……リューク様の全てを支えたい。全てをして差し上げたい。全てを捧げたいと思っております。そのほんの少しの見返りで、私にも慰みを頂きたいです」
リューク様は深々と椅子へ座り直して、足を組み替える。
跪いている下着の私は、リューク様の足を追ってしまう。
「よく言えました」
リューク様の足が私の胸を押して、私は床へと押し倒されました。
私の上にリューク様が立って、見下ろされます。
「可愛い顔をしているね」
そんな言葉、今まで誰にも言われたことはありません。 無表情で怖いとか、何を考えているのかわからないとかならいくらでも言われてきました。
それなのに私は顔が熱くなっていくのを感じます。
「アンナ」
「はい」
「今日より、君もボクのものだ」
「今日より、アンナはリューク様の物です!」
推しの物になる!これがどれほど嬉しいことか、私は者ではない。物だ。見下ろされいるだけなのに昇天しそうなほど体が心地よくて、溢れ出している。
「だけど、君をいただくのはエリーナと二人同時にだ。いいな」
「はい!」
「よくできました。ご褒美だ」
そう言ってリューク様は床に寝そべっている私の下腹部を踏みました。
それだけで私は何とも言えない快楽と、幸福感に身を捧げてしまいました。
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あとがき
どうも作者のイコです。
以上で第五章完結です。
次の話から第六章になります。
明日は投稿するのか未定で。書きあがれば投稿します!
いつもサポート、いいね。コメント、レビューをして頂き本当にありがとうございます!
また、中編コンテスト『賢いヒロイン』を近日中に投稿しようと思っていますので、その時は読んでいただければ嬉しく思います。
どうぞ今後もよろしくお願いします(๑>◡<๑)
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