第140話 二年次 剣帝杯 1
【side実況解説】
【実況】「いよいよ今年もやって参りました!アレシダス王立学園剣帝杯!!!予選大会が、今年も王都各地で行われました。
すでに決勝リーグへ駒を進めた8強が出揃っております」
【解説】「今年は昨年の一年次で決勝を争った生徒たちが二年次になり、レベルを上げていますね。
筆頭と言われるエリーナ王女様を指して、プラチナ世代と言われる彼らの成長が見られますね」
【実況】「そうですね。それでは決勝リーグへ勝ち上がった選手紹介をしていきたいと思います」
【解説】「決勝リーグに上がった者には二つ名がつけられますからね」
【笑毒菩薩】ナターシャ
【紫熊娘娘】バルニャン
【炎髪戦乙女】リンシャン・ソード・マーシャル
【覇麗夢王】リューク・ヒュガロ・デスクストス
【最年少S級】ダン
【雄女強者】ノーラ・ゴルゴン・ゴードン
【人心遊戯】タシテ・パーク・ネズール
【我儘令嬢】セシリア・コーマン・チリス
【解説】「今回も曲者が揃いましたね」
【実況】「そうですね。昨年の覇者であるアイリス・ヒュガロ・デスクストス公爵令嬢は、美しさを兼ね備えた完璧なチャンピオンでした。
今年のチャンピオンも、昨年のアイリス選手に負けない戦いを期待したいと思っております」
【解説】「三年生がノーラ選手一人だけなのは、今年も三年生同士の潰し合いが行われたのでしょうね。
決勝リーグに勝ち上がる者は、ほとんどがレベルカンストに近い状態です」
【実況】「ですね。今年はアイリス選手がいない以上、我こそはと勇んだ者が多かったようです。
それに対してらさすがはプラチナ世代ですね。
二年次からは4人も残っています」
【解説】「決勝リーグに上がる予選大会で行われた、リンシャン選手とエリーナ選手の一戦は事実上の決勝戦と呼べる戦いでした」
【実況】「そうですね。氷の女王エリーナ選手に対して、炎の戦乙女リンシャン選手が力で押し勝ったという試合でした」
白熱の映像が流されて、観客からは歓声や感嘆の声が漏れる。
【実況】「今から行われる決勝戦も十分に期待が持てますよ。それでは決勝リーグ第一試合【紫熊娘娘】バルニャン選手対【人心遊戯】タシテ・パーク・ネズール選手の戦いを始めたいと思います」
「降参します」
【実況】「えっ?これはどうしたことだ?タシテ選手が開始の合図とともに降参を言い放った!!!!」
タシテ選手は、降参を告げるとゆっくりとバルニャン選手に近づていく。
【実況】「【紫熊娘娘】バルニャン選手は、アレシダス王立学園の一年生として登録はされています。
ですが、ほとんどの情報が秘匿とされていて、全く情報がないのです。
ただ、予選大会では、ほとんどの相手を無言の一撃で倒して参りました。
決勝リーグでは戦いが観れると思いましたが、まさかのタシテ選手の降参です」
【解説】「タシテ選手は、情報分析に長けた選手です。【紫熊娘娘】バルニャン選手のことも調べ上げて自分では勝てないと判断したんじゃないでしょうか?」
タシテは、バルニャン選手に近づいてアメを渡した。
【実況】「えっ、今のはどういうことなのでしょうか?二人は知り合いだったのでしょうか?」
【解説】「そうなのかもしれませんね。
タシテ選手の精神攻撃は強力です。
そんなタシテ選手が白旗を上げるような相手だということなのでしょう。
バルニャン選手は一体何者なんでしょうね?」
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控え室へと戻ってきたタシテ君を出迎える。
「ご苦労様」
「いえいえ、私ではバル様には勝てませんので」
「ボク的には、タシテ君が戦う意志を見せるなら、バルを負けにしても良かったんだけどね」
「それはいけません。バル様もリューク様の一部です。私がリューク様に勝つことがあってはならないのです。それが決して仕組まれたものであってもです」
タシテ君、君の忠誠心はどこから来るんだい?
ボクは面倒だから、ほとんどのことを君にまかせて寝ていたいだけなんだよ。
「そんなことは気にしなくてもいいのに」
「いえ、バル様が出ているということは、リューク様にお考えがあるということです。
私はリューク様のお望みのままにしていただくことこそが誉れ」
君は相変わらず優秀だね。
それにしてもやる気のないと言いつつ、勝ってしまうリンシャンはまだまだ手加減が苦手に見える。
決勝リーグまで来たけど、そろそろボクは負けてもいいかな?ダンと当たるのは決勝だ。
ダンの山場となるのはノーラ戦だろうな。
ボクが戦うのはナターシャか……負けても問題はないけど、どうしたものかな?
「(^O^)/」
「バルもおかえり」
タシテ君にもらったアメを舐めながら、笑顔で現れたバルは満足そうな顔をしていた。
次の対戦相手カードはセシリア対ダンだ。
セシリアがとんな戦いをするのか?
ダンが、ここで負けることはないと思うが、それによってボクの立ち回りも変わってくる……
「リューク様」
「うん?ハヤセか、どうした?」
控え室に現れたハヤセは、ダンの試合を見るのではなくボクの前に現れた。
「お話ししたいことがあります。お時間をよろしいでしょうか?」
ハヤセが二重スパイであることはすでに判明している。
そして、このタイミングでボクを呼ぶということは何かあるのだろう。
めんどうだ。
だけど、少しだけワクワクしている。
何が起きるのか楽しみなボクがいた。
「ああ、構わないよ。タシテ君、ちょっと行ってくるね」
「はい!リューク様のお望みのままに」
「(^O^)/」
ボクは二人に見送られて、ハヤセと共に控室をでた。
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