第59話 一年次 剣帝杯 6
《実況解説》
《実況》「八強として選出されたルビー選手が、リューク・ヒュガロ・デスクストス選手に開始と共に降参を宣言。さらに、《無冠の王子》ムーノ選手と《剣帝の弟子》ダン選手の戦いは、激しい長期戦の末、ダン選手の辛勝となりました。互いに消耗が激しくよくぞ打ち合った」
《解説》「二戦が終わって、開始と同時に決着が付いたリューク選手。対して長期戦の末にギリギリの勝利を収めたダン選手。攻防は対照的ですが、どちらも一年生の勝利は今後に期待ですね。残る二戦はいったいどうなることか?楽しみですよ」
《実況》「本当にそうですね。今年の剣帝杯は何が起きるのかわからない!!!先が読めない」
《解説》「様々な思惑が絡み合い。誰が優勝するのか……楽しみで仕方ありません」
《実況》「大会も残り五試合です。好カードが続きますので、見所は十分ですね。それでは続いての戦いは美しき女性の戦いをお送りします」
《解説》「上流貴族のお二方は、見た目だけでなく、その魔法すら美しい」
《実況》「はい。どんな戦いを繰り広げるのが目が離せませんね」
♢
『注意:ここからは百合と同意なき性描写を含みます。苦手な方は飛ばしてください』
《Sideアイリス・ヒュガロ・デスクストス》
さて、本日のわたくしは気分が良いですの。
お気に入りのパープルのドレスを身に纏い、ヒールも色を合わせましたの。
アクセサリーは身体の各所を守る魔導具をチョイスしましたの。わたくしの肌に傷が付くなど許せませんの。
「お嬢様、今日も美しいです」
従者をしてくれているレイ、わたくしを褒め称えてくれますの。
ご褒美にキスをしてあげましたの。
「アイリス様♡♡♡!!!!」
「レイ、わたくしが美しいのは当たり前ですの」
「はい!申し訳ありません」
「ふふ、だけど、戦いも美しくなくてはいけませんの」
わたくはダンスパーティーに行くつもりで、剣帝杯の会場へ入場しましたの。
あ~やっぱり美しい。一年生では、リュークに次ぐ美しさを誇るのはこの子ですの。
「エリーナ・シルディ・ボーク・アレシダス様。本日の対戦、心から楽しみにしていましたの」
「アイリス・ヒュガロ・デスクストス様。私もです。《美の女神》の実力を私に示してください」
「先に言っておきたいことがありますの」
「なんでしょうか?」
「わたくし……男性よりも美しい女性の方が好きですの」
「はっ?」
《実況》「美しき女神たちの戦いが開始されようとしております」
《解説》「どんな戦いになるのか楽しみでなりませんね」
わたくしは開始の合図を待ちますの。
あ~なんて美しいのでしょう、メチャクチャにしてあげたいですの。
「いきます!」
エリーナ嬢が、私に向かって手を掲げましたの。
その魔法はもう知っていますの。
「アイスボール」
氷玉が飛んでくるのをわたくしは避けませんの。
その必要もありませんの。
ゆっくりとエリーナに近づいていきますの。
「なっ!それなら……フリーズ!!!」
会場全体が氷の世界へと様変わりしてしまいましたの。
ふふ、本当に美しい魔法ですの。
「なぜっ!何故、私の魔法が当たらないのです!」
「お可愛いことですの」
わたくしは手の届く範囲にエリーナを追い詰めましたの。
「これならどうです?!アイスドーム!!!」
《実況》「おおっと!エリーナ選手、自分ごとアイリス選手を氷のドームに閉じ込めてしまったぞ!!!何も見えない!!!」
《解説》「攻撃が当たらないことで、逃げ場を防いで攻撃を行おうとしたのでしょう。ドームだけでは脱出されてしまうので自分ごと中に入って仕留めるつもりですね」
ふふふ、自分から籠の中の鳥になるなんて、本当に「お可愛いことですの」私は足場から凍り出したスノードームの世界で、氷を魔力で溶かして前に進んでいきますの。
「どうして?どうしてあなたに魔力が当たらないのですか?それにどうして氷が!!!」
「簡単なことですの。わたくしは魔力にも愛されていますの。なぜなら私が美しいからですの……氷たちは私を傷つけないために勝手に避けていくんですの」
「そんなバカな!」
「先ほど言いましたの。わたくしは男性よりも美しい女性が好きですの……あなたが降参するまで楽しませてもらいますの」
「何をするつもりですか!!」
自らの魔法で足場を凍らせるエリーナへと手を伸ばしましたの。ああ、柔らかいですの。
美しい女の子の身体はどうして、こんなにも柔らかくて気持ちがよいんですの。
「なっ!やっ、やめなさい!」
「唇は奪わないでいてあげますの。あなたがどんな相手を選ぶかはわかりませんが、わたくしに唇を奪われてしまえば、もうわたくし無しでは生きていけなくなりますの」
理解できない状況に追い込まれて顔を歪めてしまうエリーナも、なんと美しい顔をすることですの……エリーナをわたくしのモノにしたいですの。あ~ダメですの。リュークの獲物かもしれませんの、今は我慢しなければいけませんの……
「もっ、もうやめてくださいませ」
あらら、いつの間にか荒い息をしているエリーナが出来上がってしまいましたの。
「残念ですの。もっとメチャクチャにしてあげましたのに……さて」
私は指を鳴らして氷を破壊しましたの。
レベル差がある以上、この程度の魔法ではわたくしを捕らえることは無理ですの。
《実況》「なっ! なななななななんと!!! エリーナ嬢が倒れている!!!! いったいに何が起きたのか!!!! 柔肌が見えそうで見えないところがもどかしい!!!」
《解説》「美の対決は女神が勝利したようですね」
《実況》「見たかった!!!!」
本当にうるさいですの。
わたくしは今気分が良いですの。
「エリーナ、わたくしのところに来たければいつでも訪ねてくるがいいですの」
「ぐっ!」
わたくしは美しい少女の身体を堪能して満足しましたの。
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