第9話:女王への謁見
―――バン!
不穏な空気を割ったのは、乱暴に開かれた玉座の間にあるただ一つの扉。
戦場を闊歩する兵士の如く大股で大胆に、卿たちの間を割って歩き、ツカツカとわき目もふらずに玉座の前に立ったのは、近い未来その玉座に座る女王である。
二つの意味でオスカーは頭を抱えた。
一つはシリウスの想定外の行動だ。
扉は女王自ら開けるのではなく、オスカーの合図で内側から開ける予定だった。そしてそれをシリウスには三度説明したのだが、それを覚えてなかったこと。
扉の向こうでレイニ―・ディック候が首を横に振っている。彼も直前に説得してくれたのだが、どうやら無駄だったらしい。
もう一つは服装。薄茶色の麻布に、オスカーが用意したドレスの装飾品のリボンを腰布として適当に巻き付けているだけだ。まだ結える程に伸びていない髪を華やかにするためと、わざわざ城下一の彫金師に作らせたのだがそれも着けてくれていない。
これではまるで少年兵だ。
シリウスはつい、と口角を上げ、さっさと玉座に座った。
「歓談は十分に済んだようだな、オスカー」
「―――はい、陛下」
扉の向こうで立ち聞きしていたな、この女王様。
「―――っ」
オスカーは長らく待たせてしまった七星卿たちを早速紹介をと、視線を戻したが思わず息を呑んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます