第5話 奴隷を買った


今日の依頼は奴隷商の調査か…… 正直あの場所は嫌いだ。

この国では奴隷は国に認められているが厳しい審査があるためそれを通過しなければ奴隷商としては認められない。適切な扱いをされている奴隷もいるが、その需要の高さゆえに非合法な奴隷商が数多く存在するのが現状だ。


今日調査するのは… サブタン商会か。新鋭の勢いのある奴隷商会だがその勢いに疑問を抱いたギルドが俺に調査を依頼してきたって訳だ。あそこの商会長胡散臭いんだよなぁ。用心しとくかぁ。



「やや、ようこそいらっしゃいました。ビムガ様! 本日は我がサブタン商会にご来店いただき感謝いたします! どうぞごゆるりとご覧ください。当商会は綺麗どころもたくさんご用意しておりますのでどうぞ」


でたよ。サブタン・トロ―。新鋭サブタン商会の会長。

勢いはあるがどうも奴隷の仕入れ先が怪しんだよなぁ。農村から買っているらしいがそんなとこに農村は無かった気がするんだが・・


「本日はどのような奴隷をお探しですか?」


「家事に長けている奴隷で、性別はそうだな・・ 女が良い。」


「ほぉほぉ。家事ですな。それこそ見目麗しい者が先日入荷しましたよ!」


こいつの者は俺には者に聞こえるんだよなぁ。まぁ憶測でしかないが。

家事奴隷に関しては本当に欲しいが、どうも奴隷という存在には慣れない・・・

前世が日本人だからかもしれないが・・・


「さぁさ! こちらです!」


俺一人ではこの世界を変えることはできないが・・ 手の届く範囲は守ると決めた。

そのために冒険者になったのだから。


この8階建ての建物・・・ 表向きはだな。

誤認の魔道具でごまかしてはいるが地下がある。

さて、問題があることだけはわかったがどうするか・・


「サブタン。あまり大きい声で言えないのだが実は特殊な魔力を持った家政婦だと尚 嬉しいのだが・・ いるか?」


「特殊な魔力をもった奴隷」魔法についてすべてが解明されていない現代では魔法について非人道的なことを行う組織が存在する。

その被験者たちを「特殊な魔力をもった奴隷」と隠語ではいうのだが・・ 

十中八九地下だろうな。


「やはり、気づいておいででしたか? 

 ご参考までにいつ頃お気づき人なったのかお聞きしても?」


「入った時からかな」


俺から聞いたとしても、もう参考にすることはないだろうが・・・


商館の奥にある部屋の床の魔法陣にサブタンの血液を垂らす・・・

こいつが余裕をもっていたのはこれか。恐らくこいつの命が無ければ開かない魔法陣

厄介なこった。 こいつの出所も調べてもらうかな・・


さて・・ 真っ黒だったな。


                「凍牢鮫」


「なっ・・ 約束が・ 違う・・」


約束? 本当に覚えていないが・・・ まぁいい。 


「凍牢鮫」は便利な魔法で1体の凍鮫が1つの対象を凍らせるまで追尾する魔法だ。

消費魔力は対象の数によるが、まぁ便利だ。 かっこいいしな。




「ビムガさんに引き取っていただきます。 マリちゃんです。」


「は??? 寝てるのか? 誰だ?」


ん? 俺は今日この間の依頼の報酬を受け取りに来たはずだが・・


「ですからこの子が報酬です。」


「??? リオラ?」


どういうことだ? 俺は無意識のうちにこの子を引き取ったのか?

この若い受付嬢は激務に揉まれすぎて誰かと勘違いしているのか?


「もう。冗談ですよ。可愛い受付嬢の冗談くらい返してくださいよ~」


「リアルすぎるわ」


「リアル? たまに博識そうな言葉使いますよねビムガさん。

 まあ面白い顔が見れたので満足です!」


「まぁ。冗談じゃないんですけどね。

 マリちゃんのみ出身がわからず、契約も無し。言ってしまえば非合法奴隷です。

 その場合、孤児院などに預けられるのが普通なのですが・・・」


なるほどな・・ 

このままではこの幼い子が元気に生きて行くのは不可能に近いか。


「そこで私悩んでギルマスに相談したんですけど

 ビムガさんに言えば2つ返事で引き取ってくれるだろうって・・・」


あんの若輩エルフ・・・ まぁ 乗りかかった船だ。

しかし・・ 小さいな。 幼子の世話をするのは何十年ぶりだろうか・・


「ちなみにその子、「魔紫眼」です。」


「はい?」

 


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