第13話 窮乏化理論Ⅰ
マルクス主義に関しては調べれば調べるほど、眩暈(めまい)がします。マルクス主義を批判することを目的にして記事を投稿していませんが、どの理論も全て破綻していると思えます。マルクスが生きた時代は、経済学が発展途上の時代であったとは思いますが、経済の実態を本当に知っていたのかとの疑問を抱きます。勿論、マルクスが生きた時代には、労働基準法や最低賃金の保証もなかった時代であり、労働者は過酷な労働条件を強いられていたことを否定する気はありません。
その労働者の置かれた状況を改善しなければならないと考えたのが、マルクス主義なのでしょうが、前提となる考えに間違いが多すぎて理論が破綻しています。そんな破綻している理論の一つが、今回取り上げる「窮乏化理論(きゅうぼうかりろん)」です。
この「窮乏化理論(きゅうぼうかりろん)」とは、資本主義社会のもとでは,労働者が生産過程で創出する剰余価値を資本家が搾取し、それによって社会的生産力を高め、労働者の生存が保証されることから、剰余価値を増大させる労働時間の延長、労働強度の増大、過度の労働、労働生産性の発展は、絶対的にも相対的にも剰余価値の生産を増大しますが、労働者は隷属状態となり、すべての労働者を窮乏化することになるとする学説です。
マルクスは、労働者の窮乏化を資本主義生産に内在する普遍的法則であるかのように考えましたが、労働者の組織的団結がこれらの法則をある程度まで修正できるとも考えていました。
マルクスの考えに従えば、資本主義社会では資本家は富を増大させても労働者は貧困化して困窮を極めることになるとされています。その結果として資本主義は行き詰まり、共産主義へ移行するとされていますが、資本主義は発展しましが、労働者がマルクスが予言したように困窮化することはありませんでした。これは結果論であり、マルクスが生きていた時代には予想できなかったと言えるのかもしれませんが、経済の専門家ならば、充分に予想できたはずであり、マルクスが気付かなかっただけではないかと思います。
マルクス主義は、産業革命後の社会を前提としてますが、産業革命後に工場は機械化されて生産能力は増大しましたが、産業革命以前の時代にも工場は存在していました。勿論、産業革命以前は、手工業が主体の時代でしたが、職人が製造から販売まで一貫して行う「家内制手工業」があり、次に問屋が、職人に原材料や道具などを貸し付け、生産を行わせる「問屋制家内工業」が生まれ、次に資本家が、労働者を1か所に集めて、生産を行う「工場制手工業」が生まれました。
産業革命以前から生産の効率化は既に行われていたことを考えますと、「窮乏化法則」が成立するのであれば、手工業の時代に既に「窮乏化法則」が起きていたとしても不思議ではありません。「家内制手工業」から「問屋制家内工業」に移る時点で生産の効率は改善され、「工場制手工業」となったならば、明確に資本家と労働者の関係は成立します。そのため、「家内制手工業」と「問屋制家内工業」を比べてるならば、資産を提供する「問屋制家内工業」の方が労働者は搾取され、「問屋制家内工業」よりもより資本が必要な「工場制手工業」の方が労働者が搾取されているならば、「窮乏化法則」が起きるはずです。
このことについて調べてみましたが、経済学に詳しくもないことから分かりませんでした。しかし、常識的に考えるならば、生産体制が効率化されることと労働者の搾取は無関係な話ではないかと思います。いつの時代にブラック企業は存在しますが、資本主義が発展した社会においてブラック企業が成長する可能性は低いと思います。その理由は、従業員の定着率の悪さと優秀な人材が集まらないことです。労働条件が悪ければ、従業員は直ぐに辞めますし、優秀な人材は集まらないことから常に人材不足となります。これでは企業は発展しません。
そのため、低賃金しか払えない企業は成長が難しくなります。低賃金に頼らなければならない企業は、現代なら安い労働力を求めて発展途上国に工場を移転するか、高い人件費でも採算がとれる高付加価値の商品に移行するかの選択となります。禁じ手としては外国人技能実習制度や海外の留学生を雇って安い賃金で雇用するかとなりますが、実質的には移民を受け入れているのと何も変わりません。
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