第7話

 「ついに、私告られるかもしれない」

 

 三つ編みをして昼ごはんのサンドイッチを食べるのんちゃんはぽかんとした顔をして、「え!?」と大声を出した。

 私は周りに誰もいないことを確認する。ここが周りに誰もいない庭のベンチで良かったと思った。


 「だれ?」

 「後輩……」

 「おめでと!」

 「気が早いって!」


 のんちゃんはサンドイッチをお弁当の中に戻し、パチパチと私に拍手を送った。

 のんちゃんは私の従姉妹でたまにこの場所でお昼にお弁当を一緒に食べる。大体は他の人に知られたくない話を二人でする。

 そして、のんちゃんは私が虐められていたことを知っている。


 「もしかしてその子って鈴が虐められていたことを知っていた人?」

 「なんで分かるの!?」

 「やっぱり」


 のんちゃんは嬉しそうにふふっと笑った。


 「だって、鈴、めっちゃ嬉しそうやもん。それに、鈴がその子以外の後輩とか関わっているところ見たことないもん」

 「でも……でも、私が好きで居ていいのかな」

 「鈴……」


 自信なさそうにしている私にのんちゃんは「顔をあげて」と声をかけた。

 私は顔をあげて、のんちゃんの顔を見る。のんちゃんは優しく「恋は誰でもしていいんよ」と言ってくれた。


 「でも……」

 「いつまでも中学の時のこと引きずっていても自分が辛くなるだけ。それに、誰かがきっと鈴のこと助けてくれたって言っていたんよね。きっと鈴のヒーローや。今もその人のこと思ってるの?」


 中学の時、主犯の人たちが私に何もしてこなくなった前日、私は聞いてしまった。誰かが、私のいじめについて主犯を問い詰めていたこと。

 トイレに行っていて出づらくなってトイレの前で聞いていた。あの人は私のヒーローだ。いつかお礼がしたい。そう思っていたけど、顔がわからず、誰だかは分からない。


 「私……その人のことも、俊のことも好きなんだ。これってだめなことなの?」

 

 のんちゃんは真面目な顔をして「だめじゃないよ」と一言言った。

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