第3話 暴れる男

 俺様は小さな頃から腕っぷしが強くて声がデカかった。小さな頃から悪ガキだ。そんな俺様はいつからか自分が発する『言葉』や『音』が物質と化すようになっていた。俺様は自分の発する『言葉』や『音』を視認でき周りへぶつける事ができるのだ。



 ◇



 俺様は昼飯を買いに近所のコンビニへ歩いて行く。

 散歩中の仔犬が尻尾を振って近づいてきた。


『ワン! ワン!』


 俺様に向かって吠えてきた。


『うるせーぞ、コラ!』


 俺様の物質と化した『うるせーぞ、コラ!』がマッハで仔犬へ飛んでいく。

 仔犬は物質と化した『うるせーぞ、コラ!』が見えないのでダメージを受けても何が起こったかわからない。「キャンキャン」言いながら逃げていく。


『躾けとや、コラ!』


 俺様の物質と化した『躾けとや、コラ!』がマッハで飼い主へ飛んでいく。

 飼い主は物質と化した『躾けとや、コラ!』が見えないのでダメージを受けても何が起こったかわからない。泣きそうになりながら去っていく。



 近所のコンビニに到着した。ドアの近くに学生が集まっている。


『おう、邪魔や』


 俺様の物質と化した『おう、邪魔や』がマッハで学生へ飛んでいく。

 学生は物質と化した『おう、邪魔や』が見えないのでダメージを受けても何が起こったか分からない。顔をしかめて退散していく。



 俺様は特に意味もなく舌打ちをする。


『チッ』


 俺様の物質と化した『チッ』がマッハで無差別に周囲の客へ飛んでいく。

 周囲の客は物質と化した『チッ』が見えないのでダメージを受けても何が起こったか分からない。訝しげに俺様の周りから去っていく。

 そういえば俺様の物質と化した『チッ』を両腕でガードしたヤツがいた。アイツは何者だったんだ。



『お前んとこの商品どうなっとんじゃ』


 俺様の物質と化した『お前んとこの商品どうなっとんじゃ』がマッハでコンビニ店員へ飛んでいく。

 コンビニ店員は物質と化した『お前んとこの商品どうなっとんじゃ』が見えないのでダメージを受け続けている。


 俺様はコンビニで暴れ続けた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る