【No.3】『サメの騎士、他数編。』平坂四流様

中田:続きまして、平坂さんの『サメの騎士』です!



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https://kakuyomu.jp/works/16817139559104492362



小柴:まず展開が面白かったです。次はどうなるんだろう? ……と思って、読み出したら止まりませんでした!

 作者様の好きがぎゅっと詰まっていて、読んでいるこちらも楽しくなりました。


中田:いやぁ、「どエラいのが来たな!!」と思いました。最初から最後まで原典群からぶっ飛んだ設定でしたね。

 私、冒頭のシーンを読んで、ふと『アヴァロンの霧』シリーズ(マリオン・ジマー・ブラッドリー)を思い出したんですよね。まぁ、話がゴルロイス側から始まるって点が同じなだけで、雰囲気も展開も全然違うんですけど 笑

 で、読んでみた感想なんですけど、素直にメタギャグやってるのかな、と思いました。映画『キング・アーサー』(確か、2017の方だったはず)で、アーサーが駿馬を見て「ナポレオンの馬だ」と言うシーンがあったのですが、なんかそんな雰囲気に近い。「いや、何百年後の話だよ!!」みたいな 笑


小柴:モルゴースが可愛い女の子だったり(見た目)、マーリンがピンク髪だったり、設定が面白かったですね。FG○みがありました(プレイしたことのある方なら分かるかと)。


中田:そうだったんですね! 私はそれほど詳しくないから、そこら辺は分からなかったなぁ。

 マーリンの見た目に関しては、平坂さんの過去作『其は我が故郷ならざる故郷なり』の設定を引き継いでいますね。何故うさぎなのかは不明ですが 笑


小柴:平坂さんは、アーサーとの対立構造を、モルガン・ル・フェではなくモルゴースに置いていますね。


中田:過去作でもそうなので、何かしらのこだわりがあるのだと思います。こういう小ネタを拾っていくのが、伝説モノの楽しみ方ですよね!

 ネタと言えば、マーリンの「創作は監獄の中でもできますけれど、大作アクション映画は塀の外でなければ撮影できませんから」(「プレステージ」)という台詞があるじゃないですか。あれって、トマス・マロリーですよね 笑


小柴:私もそう思いました!


中田:で、少し話を飛ばしまして……。第2話の「怪人アンサー」なんですけど、あれってネットで流行った怪異が元ネタらしいです。知らなかった。


小柴:なるほど……! 私は第3話の「サメの騎士」で笑っちゃいました。最近、B級サメ映画が流行ってるらしいんです。もうサメが海を飛び出しちゃって、陸とか宇宙とかで戦うんですけど。


中田:え~、何じゃそりゃ!! 笑

 そう言えば、「サメの騎士」ってかっこいいですね。クレティアン・ド・トロワが書いてそう。



※「ランスロまたは荷車の騎士」・「ペルスヴァルまたは聖杯の物語」・「イヴァンまたは獅子の騎士」・「ゴーヴァンまたはサメの騎士」……。

 驚くほど、違和感がない。



小柴:ガウェインが『なんで人を襲うのか』ってサメに問うシーンがあるんですが、そこは緑の騎士(「ガウェイン卿と緑の騎士」)やラグネルとの結婚(「ガウェイン卿の結婚」)をもじってるのかと思いました。モルガンによって呪いをかけられた騎士がアーサー王の命を狙う話です。


中田:第4話(「幽霊トンネル」)では源義経が出てきますね! 義経が出てくるのは、彼が生き延びてモンゴルに行った話があるからでしょうか。トリスタンも円卓の騎士の話に組み込まれるときに、「キャメロットに流れ着いた~」みたいな展開になる場合もあるので。



※「何のこっちゃ?」という方に簡単にお話ししますと、元々「トリスタンとイゾルデ」は円卓の騎士とは別の物語で、徐々に伝説内に組み込まれていた、という経緯があります。トリスタンが円卓の騎士になる話は色々あるのですが、有名なパターンだと、アイルランドとブリテンを行ったり来たりしている際に、難破したのちキャメロットに流れ着いた、というものがあります。



中田:でも、トンネルにいた幽霊とヨシツネは別人なんでしょうか…? ここら辺が、よく分かりませんでした。


小柴:うーん、カタカナのヨシツネが伝説で、義経が幽霊なのかも……?


中田:なるほど!! 小柴さん、頭いい!!

(ヨシツネってカタカナだし、余計に伝説っぽい!!)



※2人は平坂さんの「あとがき」を読まずに勝手に考察しています。で、後で「あとがき」を読んでみたら、ちゃんと書いてありました 笑



中田:第5話はタイトル通り、くねくねに関する話ですね。でも死者3万人って、多すぎじゃないですか? なんか、メイヴ女王の軍隊みたい 笑


小柴:アリル王と言い争ってるシーンのことですね。



※アルスター神話群「クーリーの牛争い」より。コナハトの女王メイヴが自分の兵の多さを自慢する場面があるのですが、研究者が計算したところ、なんと400億人以上になったらしいです。



小柴:第6話(「王と魔女」)、サメが完全に陸上から出て戦ってる 笑


中田:で、アーサー王は蕎麦を振る舞うという 笑


小柴:最後(「銀河鉄道の夜」)、対立している2人が語り合う場面が、とても印象に残りました。


中田:クー・フーリンを看取るモリガンみたいですね(また、アルスター神話の話をしています)。普段は対立してるけど、最後は看取る。きっと、そういう関係性なんですよね。

 ついでに、平坂さんが「あとがき」で、キャラを出し過ぎたって書いているんですけど、私はむしろ少なくてすっきりしてると思いました。何なら、もっとジャンジャン出してほしい!


小柴:中田さん、盛りもりなのが好きなんですね 笑



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