第44話 人員確保
【おめでとうございます! 忠臣が閣下の配下になりました!
乳母 アデル
料理人 ビーダー
暗殺者 クーデル
それぞれの忠臣を解説します。
乳母 アデル
壊滅した暗殺者組織【闇蛇】の元構成員。
攫われてきた子供達を育てる役目を負い、子供達からは母と慕われていた。
料理人 ビーダー
壊滅した暗殺者組織【闇蛇】の元構成員。
本拠地で長年食事番を務め、きっぷの良さで若い構成員に慕われていた。
粗悪な材料を美味く仕上げる腕に定評あり。
暗殺者 クーデル
壊滅した暗殺者組織【闇蛇】の元構成員。
メアリとともに将来の双璧として期待されるなど洗練された技術をもった暗殺者。
幼い頃から共に育ったメアリに対し、異常な執着を見せるが、それ以外は至って常識的】
オーレナングにやってきたのはビーダー、アデル、クーデルの三人。
ビーダーにはマハダビキアの下についてもらい厨房の仕事を任せた。
マハダビキアからは若くて経験の少ない人材をって頼まれてたけど、ここは魔獣の庭と名高い僻地。
料理人なんかくるはずないよね。
いや、何人かは来てくれたんだけど時折聞こえる魔獣の咆哮なんかにビビってすぐに辞めてしまうのが現実だ。
ビーダーを任せると伝えた時、マハダビキアは珍しく渋っていた。
前にも言っていたとおり、経験が豊富すぎる人材はどうしても自分の色を出したがるところがあるから使いづらいんじゃないかと。
僕の指示で仕方なく使い始めたって感じだったな。
「おっちゃん! 野菜の下拵え頼んでもいいかい? 俺は肉のほうやっつけちゃうからさ!」
「あいよ! 任せときな料理長。いやあ、最近は屑野菜や屑肉しか扱ってなかったからこの新鮮で瑞々しい野菜を触れるだけで涙が出てくらあ。ありがてえなあ」
「おいおい、おっちゃん。厨房で湿っぽいのはなしにしてくれよ?」
蓋を開けてみれば意外なほど馬があったようだ。
マハダビキアに負けず劣らずビーダーも苦労してきたんだもんな。
聞いた話だとビーダーは元々評判のいい料理屋を開いていたけど、闇蛇傘下のゴロツキに騙されて借金を負わされ、その代償に闇蛇で料理番をさせられてたらしい。
逃げ出さなかったのはメアリやクーデルのような子供が攫われて来ていることを知り、せめて美味いものを食べさせてやりたいと思ったからなんだと。
偉ぶったところもなく素直に謙虚にマハダビキアの指示に従って働いてくれている。
「上手くやっているようだな二人とも」
僕の言葉にマハダビキアが腕を広げて大袈裟なリアクションを見せる。
伊達男だからオーバーリアクションが似合うこと。
「おう若様。いや、さすがは年の功だわ。おっちゃん、勘もいいし気も利くし、なんたって技術がある。下働きじゃもったいない気もするがね。俺としては大助かりだよ」
絶賛だな。
よかった。
「マハダビキアが喜んでくれるなら勧誘した甲斐があったというものだ。ビーダー。期待しているぞ。我が家は肉体労働で成り立っているからな。朝昼晩の美味い飯。これがなければとてもではないがやっていけない」
「へい、お任せください! いやね? 料理長の腕と技は本物ですわ。この歳でこの域に達してるなんざ、天才ってのはいるもんだねえ」
相思相愛。
ただし両方おっさん。
このBLに需要はないだろう。
「そのマハダビキアが褒めるんだ。ビーダーも一廉のものなんだろうな。まあ、慣れるまでは無理をしないことだ。いいな?」
「ありがてえことです。おっと、お待たせしてもいけませんや。さっさと下拵えをやっつけちまいますよ。料理長、このあとはどうしやしょうか?」
ここは問題なしと。
さて、次はアデルだ。
本来なら僕の子供の世話を任せるところだけど、新婚の僕にそんなものはいないわけで。
我が家の子供といえばユミカしかいない。
なので彼女の身の回りの世話をお願いしている。
「アデルおばさま、髪の毛を三つ編みに結んでほしいの」
「はいはい。こっちにいらっしゃい。そう、そこに座って。すぐに出来ますからね」
「はーい。うふふ、アデルおばさまは優しい匂いがするから大好き」
「まあ! 可愛いこと。私もユミカちゃんのこと大好きよ?」
癒される。
あー、癒される。
癒される。
だめだね、あまりのマイナスイオンに語彙が乏しくなる。
ユミカ単体でも素晴らしいのに、アデルという優しいおばさまというオプションが加わることである意味の完成を見た。
「仲良くやっているようだな。ユミカ、あまりアデルを困らせてはいけないぞ? ユミカは甘えん坊だからな。アデル、ユミカをよく見ていてやってくれ。頼む」
「もちろんでございます。こんなに可愛い天使のお世話ならずっとしていたいくらいですもの」
「むー。おばさまを困らせたりしないわ! お兄様のいじわる!」
頬を膨らませて抗議するユミカ。
そんな顔をしても可愛いだけだけど、それを言うと怒らせるだけだな。
こんな時はこのマハダビキアとユミカ懐柔用に作成した飴玉!
「はっはっは! すまんすまん。この新しく作らせた飴をあげるから機嫌を直しておくれ。さ、口を開けてごらん」
「ん? んんー。美味しい!」
美味くいったようだ。
この子にはこれからも我が家の癒しであってほしい。
そのためならある程度の予算を注ぎ込んでも構わない。
これが僕だけじゃなくて家来衆含めての総意だから困ったものだと思わなくもない。
とにかくアデルも問題なく馴染んでると。
さあ、問題の人材を見に行くか。
「甘い!」
「っぐ! 化け物しかいないのかしらここには! 一発も、入らないなんて、どういうことって、ちょ、待って! きゃあ!!」
訓練のために切り開いた広めの庭に行くと、クーデルがオドルスキの木槍に胴を打たれて吹っ飛ぶところだった。
人って飛ぶんだあ、なんて今更驚きもしないけど、女性相手にあんまり無理をしないでほしい。
「手合わせの最中に愚痴をこぼす余裕などないだろう。さあ、次だ。そんなことじゃ私はおろかメアリにすら指一本触れられないぞ?」
「やってやるわよ! メアリに追いついて、追い抜く! そのためなら化け物相手の乱取りでもなんでもやってやるわ! もう一手お願いします!」
「よろしい、その意気だ」
「はあっ! ってちょ、ま、にゃあ!!」
二人はやる気みたいだけどさ。
飛びかかっては転がされ、飛びかかっては転がされを延々と繰り返してるそれに、何か意味があるんだろうか。
クーデル側に手応えなさそうなんだけど。
「オドルスキ。もう少し手加減してやれ。それじゃあ訓練にならんだろう」
「恐れながら申し上げます。クーデルより可能な限り早くメアリの域に達したいとの申し出がありました。であれば尋常の方法では到底その差は埋まりますまい。であれば、
脳筋め。
もしかしたら一見不毛なこの一方的な攻防にも意味があるのかもしれないけど、やり過ぎは良くないぞ。
「クーデルがそれでいいのならこれ以上言わんが、くれぐれも大きな怪我だけはしてくれるなよ? クーデル、お前も無理をするな。わかったな?」
「はい。お気遣いいただきありがとうございます。速やかに戦力となれるよう努めますので、今暫く時間をくださいませ」
メアリさえ絡まなければ健気で一生懸命な美少女なんだよね。
メアリさえ絡まなければ。
だから本当は外で諜報員しててほしかったんだけどなー。
やむを得ないか。
三人を雇用すると決めた時、コマンドから例のアナウンスもあったし手放すなってことだろう。
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