第66話 電車内トラブル
さきがき
今回は微エロが含まれてます。苦手な人は―――どうしようもねえな
そういう展開でも構わないという人が見ていってください
俺たちは、登校時に電車を使っている。
そんな通勤通学に欠かせないと言っても過言ではない電車内でのトラブルとは―――
そう。痴漢だ。
もちろん、世の男全員がやっているとは思わないし、それどころかやる人間のほうが少ないだろう。
そんなトラブルの温床ってほどではないが、危険性がある電車内で恋人を痴漢被害から守る方法。それは―――
「翔一……いつも思うんだが……この体勢きつくないのか?」
「きつくないよ。ていうか、玲羅を守るためならこれくらい」
「それならいいのだが……」
端っこに移動し、壁側に玲羅を張り付けて、壁がない方向を俺が覆うように抱きしめる。そうすれば、加害者が付け入るすきなんてあるまい。
しかも、こうすれば玲羅との密着度が増して、幸福感が満たされていく。
恋人を守れて、温もりを感じられる。一石二鳥だ。
そう思っていると、俺にとって予想外のことが起きた。
―――ビクッ
「どうした?」
「……いや、なんでもない」
気のせいだ。そんな酔狂な奴が……
いや、だが撫でまわすような感覚だった。
そう思っていると、先ほどよりもはっきりと俺の尻を撫でられたような感覚に襲われた。
後ろを見るように、前の扉のガラスに映った背後を見ると、平然とした顔で俺の体を障る女性の姿があった。
……実際にいるのか、痴女って。
「大丈夫か、顔色が悪いぞ」
「……うん、あと二駅だから、めんどくさいし」
「いったい、なにが……あっ」
玲羅はなにかに気付いたのか、空いている自身の手で俺の下半身の方に手を持って行った。
ガシッと、音が聞こえそうなほど、背後の女性の腕をつかんだのだ。
腕を掴まれた女性は、一瞬驚いたが冷静になり、その手を振りほどこうとした。だが、力が思いのほか強く中々外せないみたいだ。
対して、玲羅はその女性を無言で睨みつける。その威圧に負けたのか、女性は舌打ちしながら次の停車駅で降りていった。
「大丈夫か?」
「……ありがとな、玲羅」
「ふふ、私だって翔一のことが心配なんだからな?まあ、あんな奴中々いないと思うけど」
「玲羅……!」
「はわわ……!?」
俺は我慢できずに玲羅を抱きしめた。電車にだろうが、関係ない。ていうか、満員電車ということもあって、常に体が密着しているような状態だ。ほかの人になんてバレやしない。
「玲羅、好きだ」
「私もだぁ……」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
学校での午前の授業が終わり、各々が食堂や購買に移動し始めたころ、俺と玲羅はいつもの場所でまったりとしていた。
「最近、あったかくなってきたな」
「そうだな。そうだ玲羅。夏休み、一緒に海かプール行かないか?」
「いいな、そうと決まればどんな水着を着るか考えとかないとな」
「悩殺水着とかやめてくれよ」
「き、着ないが……なぜダメなんだ?」
「玲羅の体は俺だけのものだから」
「ふふ、翔一も独占欲が強いな」
「玲羅だって……」
俺たちは、似た者同士だ。いつだって、どちらの愛も重い。だからこそ、互いにお似合いだと思えるし、自分たち以外にパートナーを考えることなんてできない。
今だって、俺の膝を枕にしている恋人はなによりも可愛いと思えるし、ぷにぷになほっぺを指でつつくのも感触がいい。
「翔一は私の頬が好きなのか?」
「ううん、玲羅の全部が好きなんだ」
「そうか……な、なら、もっと柔らかいところがあるが……触ってみるか?」
「ふぇ……?」
俺は玲羅の言葉を一瞬だけだが理解できなかった。だが、玲羅はそんな俺の困惑を無視して、自身の胸を少しだけ強調した。
「す、少しだけなら……ほかの人より大きい自信がある……どうだ?」
「玲羅って、そんなことするキャラだったっけ?」
「こ、恋人がしたいと思うなら、私だってするぞ。わ、私ばっかりしてもらってばかりじゃ、愛想つかされるから」
「別に愛想なんてつかさないぞ」
「いいから!触るのか?触らないのか?」
そう言って、ガシッと俺の腕を掴んできた。意外に力が強く、俺の腕は玲羅の胸の前まで持ってこられてしまった。
今、俺が手を降ろせば玲羅の胸の凶器に触れてしまう。だが、彼女は触るのをOKだと言っている。ど、どうすれば……
「翔一……」
「な、なんだ?」
「―――私って、そんなに魅力ないか?」
「し、失礼します」
迷いはなくなった。ここで触らなかったら、玲羅の覚悟を無駄にすると思った。それに、ここで触らない選択肢を取るということは、玲羅に魅力がないと言うようなものだ。
降下した俺の手は、静かに玲羅の胸に触れた。だが、その瞬間に手が胸の柔らかさに沈んでいった。
ものすごく柔らかい。だが、それに比例しているのか、とても大きい反発力を持っていて、俺の手を押し返してきた。乳房の先端に他とは違う感触があったが、なにも考えないことにした。
にぎにぎと優しく包み込んで、放す。これを何回か繰り返していると、玲羅に異変が現れた。
「……ぁん」
一揉みするたびに、悩ましい声を上げ始めたのだ。少しずつ、その声が増えていき、やめどころを完全に見失った俺。どうすんだよこの状況。
「……なにしてんの?」
「どわあ!?美織!?」
「一応言っておくけど、学校よここ。ほかの人に見られたらどうするの」
「わ、悪い」
「まあ、十中八九玲羅が誘ったんでしょうけど」
「……ごほん!で、なんの用だ?」
とんでもないところを美織に見られたが、下ネタを言わないさまを見て、明らかになにか用があると察した俺は質問した。
ちなみに、玲羅はというと、「はぁ……はぁ……しょういちぃ……」と、胸を上下させ、頬が紅潮していた。なんか興奮している気がするが、気にしないようにする。なぜって、俺が理性を保てるか不安だからだよ。
「玲羅は……半分意識ないわね。じゃあここでいいか」
「だから、なんの用―――」
「『武装』が使いこなせるようになるって言ったらどうする?」
「―――使わない。あれだけは、使えようが使えまいが」
「そう、玲羅を守る手段としてはありだと思うけど?」
「それでもだ。使えるようになる、と言うだけで、暴発は完全に抑えられるかわからないんだろう?」
「……そうね。『武装』を使えるのはあなただけだから、被検体がないのよ。効果なんてわかるはずないわ」
「それもそうか……。まあ、作ってくれたのはありがたいが、玲羅を怖がらせることだけはしたくない」
その言葉を聞いて、美織は「わかったわ。でも、必要なら言って」とだけ言って、教室に戻っていった。
『武装』
また、嫌なことを思い出してしまった。
「しょういちぃ」
俺は、今の話を忘れるように、高揚している玲羅の頭を撫でまわした。こうすれば、心の乱れを抑えられるはずだから。
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