ライブ

 10回目のマジカルミライとなった今回のライブは、事前からファンの間で様々な予想が広げられていた。先回りして言ってしまうと、どんな予想をも超えてくるとんでもないライブが今回は展開された。途中何度も感極まって涙を流しながら参加していた人はきっと私だけではない。そんな最高のライブについていくつか楽曲をピックアップしながら話をしていきたい。初日である9月2日(金)の夜公演のセトリになるため、ネタバレを避けたい方は下の文章を読む前にブラウザバックしていただきたい。






1曲目『ネクストネスト』

 マジカルミライ2014のテーマソングにして、マジカルミライ初のテーマソング(2013はテーマソングがなかった)。2014年段階ではライブで演奏されず、長きにわたって「テーマソングだけどライブ演奏がない曲」と称されていたが、今回10thの舞台でついに初披露された。8年越しの演奏である。時代を越えて歌われたという事実で私はすでに感極まっていた。バンドアレンジがまた非常にカッコよく、1曲目から会場を大いに盛り上げた。

 完全に余談だが、この『ネクストネスト』の開始直後に私の持って行ったペンライトの1本目(去年の公式ペンラ)が電池切れを起こし、曲間でペンライトを交換するまで今年のもの1本だけで耐えきるというトラブルを起こしていた。過去のペンライトを持参するときは、新しい電池に入れ替えておくのがベストだろう。


2曲目『ヴァンパイア』

 DECO*27氏のヒット曲であるこの楽曲が2曲目に歌われた。こちらもテンションの上がる楽曲であり、『ネクストネスト』に続いて会場を沸かせた。元々の動画のイラストが赤い背景であることから、ペンライトを赤色に点灯させるファンも多く、最近の曲ながら非常に高い人気を獲得していることを実感した。


3曲目『ブレス・ユア・ブレス』

 「『ブレス・ユア・ブレス』!?こんな序盤で!?」

 まさか3曲目というタイミングでマジカルミライ2019のテーマソングが演奏された。会場のあちこちでどよめきが起きた。今年は明らかに例年とは違うぞというのを感じ取らせる曲順だ。自分としてはずっと動画でしか見たことのなかった『ブレス・ユア・ブレス』だったが、今回初めて生演奏を見ることができて感激した。「ハロー!ハロー!ハロー!」のレスポンスに参加することは、自分の夢の一つであったので、非常に嬉しかった。このあたりで私の涙腺が崩壊しはじめていた。


4曲目『おこちゃま戦争』

 7月に行われた鏡音リンレンライブでも演奏された『おこちゃま戦争』がマジカルミライでも披露された。自分はリンレンライブにも参加していたため、これが二度目であるが、初めて演奏を見るファンも多かったらしく、やはり会場がどよめいていた。リンレンの2人がわちゃわちゃしながら歌っているのを見るのは大変幸せな時間であった。昇天…


5曲目『私の恋はヘルファイア』

 高音シャウトのインパクトが強いMEIKOの名曲。やはりライブ会場で聴くシャウトは一層力強く、会場をMEIKO一色に染め上げた。パワーを感じさせるその歌唱力に魅了される有意義な時間だった。


6曲目『FLASH』

 優しく歌うKAITOが最高なテクノポップ。昨年のKAITO15周年でも魅せてくれたKAITOであったが、今年もそのイケメンっぷりにメロメロにされた。ステージ上でまっすぐに歌うKAITOは間違いなく輝いていた。「探していた言葉は全て君がくれた」とライブで歌うのは反則級に心に突き刺さった。


7曲目『#心がどっか寂しいんだ』

 カンザキイオリ氏の訴えかけるような切ないロックであるこの曲をレンが歌った。力強く歌うレンの姿が非常に印象に残る。切ない表情をするレンからは14歳とは思えないオーラが発せられていた。先に『おこちゃま戦争』で可愛らしいレンを見た後なだけにギャップが凄く、頭がおかしくなった。


8曲目『天才ロック』

 レンの後に続いて現れたのはリンであった。元々がアッパーなロック曲であるため、生バンドが非常に格好いい。リンレンライブでも思ったことだが、リンはやはりロックが似合う。意識の果てまでHack into された。好きすぎる。


9曲目『砂の惑星』

 ハチ氏が手掛けたマジカルミライ2017テーマソングが演奏された。すでにテーマソング3曲目である。ヤバすぎる。もちろんステージのミクは2017の衣装で現れ、会場を沸かせた。あのとき託された林檎の木は確かに大きく成長したのではないだろうか。そんなことを考えながら、ミクの歌を聴いていた。


10曲目『39みゅーじっく!』

 『砂の惑星』直後にマジカルミライ2016のテーマソングである『39みゅーじっく!』を演奏する贅沢が味わえるのはきっと今年だけだろう。非常にライブ映えのするこの楽曲は、久々の演奏でもファンを大いに盛り上げた。声出しこそできなかったが、コール&レスポンスとしてペンライトを全力で振るファンが多く、熱量の高い一曲であった。まさに「大サービス!」である。


11曲目『初音天地開闢神話』

 テーマソング2連続の直後にマジカルミライ2021のテーマソングが演奏された。怒涛のテーマソングラッシュである。贅沢すぎる。昨年初めてのマジミラ参戦を果たした自分にとって思い入れの強いテーマであり、またこうして演奏されたことは非常に嬉しかった。お花の妖精ミクさんはやはり可愛い。何年たっても、2021年のマジミラに行ったことを思い出して泣くのだろうなと思いながら泣いていた。


12曲目『shake it!』

 ここにきてミクリンレンの3人が同時にステージに上がる最高の楽曲が演奏された。アクロバティックなレンの振り付けに魅了され、ミクとリンの可愛さに殺され、ミラーボールは回り回っていた。3人のパフォーマンスも最高だったが、この曲は光の演出も素晴らしく、ミラーボールやレーザーを多用したカラフルなステージとなっていた。『shake it!』のイメージに合うダンスホールのような演出に目を奪われていた。あと退場するときのリンレンの「愛してるよ~」があざとすぎて死んだ。


13曲目『Jump for Joy』

 『shake it!』のあとに『Jump for Joy』はヤバい。最高すぎる。巡音ルカ10周年の書き下ろし楽曲として有名なダンスナンバーが演奏された。2曲続けてダンスナンバーが演奏され、テンションが凄まじく高くなっていた。まるでディスコにいるかのような感覚になる。この曲順を決めた責任者に拍手を送りたい。最高。


14曲目『on the rocks』

 MEIKOとKAITOと言えばやはりこの曲は外せないだろう。2人の阿吽の呼吸で広げられる大人な世界に魅了される幸せな時間であった。昨年も聴くことのできた楽曲だが、良い曲は何度聴いても良いものだと感じる。


15曲目『Someday'z Coming』

 書店太郎氏のハードなボカロックが今回選曲された。その迫力はライブだと何倍もの力を発揮し、ビリビリとする感覚を味わった。ギターを激しく弾きながら歌うルカのパフォーマンスも圧巻のものであった。衣装もデフォルトのものではなく黒いレザースーツのようなクールな衣装であり、より一層ルカのカッコよさを引き出していた。


16曲目『Loading Memories』

 今回の楽曲コンテストグランプリ作である『Loading Memories』がここで演奏された。力強く歌うミクの声が会場内にこだまし、フルオーケストラのような迫力を感じることができた。サイドモニターでは、花が咲き誇る空間で歌うミクの映像が流れており、楽曲の美しさを視覚的にも演出しており、非常に印象に残った。


17曲目『グリーンライツ・セレナーデ』

 バンドメンバー紹介を挟んだ後に演奏されたのが、マジカルミライ2018のテーマソングであるこの楽曲であった。個人的な思い入れの強い楽曲であり、この曲に何度も救われてきた身としては、ミクが目の前で歌ってくれていることに耐え切れずに号泣してしまった。自分にとってミクは光のような存在であって、それをそのまま歌にしたような楽曲である『グリーンライツ・セレナーデ』を生演奏で聴けたことは、一生忘れられない思い出になった。「虹色に輝くマジカルミライ」は、間違いなくここに存在した。


18曲目『39』

 初音ミク5周年記念で制作された『39』がこのタイミングで演奏された。『グリーンライツ・セレナーデ』で情緒が崩壊しているのでここでも泣いた。ミクにはどれだけ感謝してもし足りないが、精いっぱいの感謝の気持ちを込めてペンライトを振らせてもらった。ミクに出会えて、みんなに出会えて本当に良かった。


19曲目『ODDS&ENDS』

 初音ミク屈指の名曲が演奏され、イントロの時点で泣いた。ミクと作り手(マスター)の関係を歌う名曲であり、マジカルミライやニコニコ超パーティーでも演奏されてきた。何度聴いても心に刺さる楽曲であるが、すでに歴代テーマや名曲の数々で初音ミクに対する感情が激しくなっているこのタイミングで聴いたら本当におかしくなってしまった。

「その声に意思を宿して 今 思いが響く」

 この最後のフレーズにやられた。ミクの歌声が、託された思いがあの会場には響いていた。


20曲目『ハジメテノオト』

 2007年、初音ミクが誕生した年に投稿され、15年間愛され続けている楽曲がライブ終盤にきて演奏された。ゆったりと揺れるペンライトの海が美しく、印象に残っている。15年間かわらない、このハジメテノオトを大切にしていきたい。

「かわらないわ あのときのまま

 ハジメテノオトのまま…」


21曲目『愛されなくても君がいる』

 アンコール前最後の楽曲として演奏されたのは、マジカルミライ2020のテーマソングであった。ここまでありったけの「初音ミク」を浴びたうえで「初音ミクでいさせてね!」と歌われるのは刺さるものがある。また、今回の演奏では途中で衣装をチェンジする演出が行われ、夏祭り衣装とwinter festival衣装の両方が着用される豪華演出となった。最高。


アンコール編

22曲目『フューチャー・イヴ』

 アンコール1曲目に、今回のマジカルミライ10thのテーマソングである『フューチャー・イヴ』が演奏された。まさかアンコール初っ端から演奏するとは思わなかったので非常に驚いた。過去も未来も全てを肯定して歌うミクのその姿に目を奪われっぱなしだった。遠い幻のような存在でもあり、隣にいるくらい近くの存在でもある初音ミクを感じるこの楽曲は、この「マジカルミライ」のステージで歌われることで完成するのだと感じた。本当に最高だった。


23曲目『Hand in Hand』

 アンコール2曲目はマジカルミライ2015テーマソングであり、ライブ定番曲でもある『Hand in Hand』が演奏された。これで全てのテーマソングが一度のライブで演奏されたことになる。この曲はペンライトの振りも楽しく、みんなで作り上げるライブという感覚を味わうことができた。ラスサビでは銀テープも発射され、会場がきらびやかに彩られた。


24曲目『DECORATOR』

 マジカルミライ2017以来に『DECORATOR』がマジミラのステージで演奏された。これからのミライに期待を膨らませる明るく綺麗なミクノポップであり、会場を沸かせたが、最大の演出はラスサビだろう。最後のサビでは、ミクだけでなく、6人全員が登場し、ミクのボーカルと共に踊ってくれたのだ。普段のライブで6人そろってステージに立つことは非常に珍しく、また2017以来の演出に会場は大きく盛り上がった。


25曲目『Blessing』

 最後の楽曲として演奏されたのは、6人全員で歌う『Blessing』であった。6人全員がステージで歌うのは史上初のことである。なにより、彼らが祝福と感謝の曲を歌っていて、それを生で聴けているということに非常に感動してしまい、最初から最後まで泣きっぱなしだった。なんなら今思い出して泣いている。10回目のマジカルミライを祝福する楽曲として最もふさわしい楽曲であろう。来週も、来月も、来年も、来世も、この美しいミライを一緒に祝いたい。


 以上25曲でライブは構成された。史上最高のマジカルミライと言って差し支えのない選曲・曲順・演出であり、長きにわたって初音ミクのライブに参加し続けた人も、これが初めてのライブであった人も、全てのファンとクリエイターが満足するマジカルミライであっただろう。ここに集えた奇跡にありがとう。

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