食パン

 食パンって素敵ですよね。

 こだわりの高級食パンも良いですが、スーパーで手に入る安価な食パンをトーストにしてジャムを塗ったり、チーズやハムを乗せたりするのも良いです。


 しかし、食パンは、一体どうして食パンと呼ばれるのでしょう。

 カレーパン、あんぱん、ジャムパンなど至極分かりやすいネーミングのパンたちと異なり、食パンは、どういうパンなのか名前から全く想像ができず、なぜそう呼ぼうと思ったのか見当もつきません。


 食べた人がショックを受けるほど美味しいので、ショックパン、ショクパン、食パン……と呼ばれるようになったと考えた、そこのあなた。

 違う、そうじゃない。

 その名前の由来は、食パン誕生の物語に隠されているのです。


 むかしむかし。

 パン歴元年。

 人間は小麦を加工してなんか美味しいものを作ろうとしていましたが、それはなかなかうまくいきませんでした。

 そう。昔の人は、

「小麦粉に水、塩、酵母を加え、こねて作った生地を発酵させ、焼き上げればパンができるんじゃね?」

 などと考えていきなりパンを作り出したわけではないのです。


 人々は、パンを作り出すまでの期間……ドロッとした、パンの出来損ないを食べて、いや飲んでいたのです。

 当初、パンは食べ物ではなく、飲み物だったのです。

 だからこそ。

 あるとき、奇跡的に条件がうまく重なり、発酵してふっくらと膨らんだパンを食べた人々は。

 その美味しさにショックを受け、これは画期的な「食べられるパン」、すなわち「食パン」であると言ったのです。


 このとき誕生したパンに近い形のものが、現在も、食パンと呼ばれているのです。

 ショックパン説も割と良い線いってましたね。

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