春わらし
お客様の中に、『春わらし』をご存じの方はいらっしゃいませんか。
あ、いえ。別に知っていたらどうということもないのですが。
ただなんとなく。
春わらしというのは、あれです。
春になると、草花の陰に見え隠れしたりする。
体長が5~50センチメートルくらいの。
色とりどりの。
小人みたいな。
見たことありませんか?
それはもったいない。
まあ、季節の移ろいを感じる機会も少ないこのスピード社会においては、そういう方も多かろうと思いますが。
春わらしを見たい、会いたいという場合は……そうですね。
彼らは、春らしいものが好きなので。
あと、楽しいものが好きなので。
まず、桜色のコーデで全身を包んで。
おろしたてのウォーキングシューズを履いて。
タンポポの首飾りをかけて。
つくしを頭につけて、ツノみたいにして。
菜の花をむしゃむしゃして。
フエラムネなどを吹きつつ。
蝶のように舞い、たまに蜂のように鋭い動きで。
サンバとかのリズムで。
朗らかに笑いながら。
そうやって野山を練り歩いていれば、そのうち、春わらしに会えるかもしれません。
あるいは会えないかもしれません。
会えなかったら、また来年。
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