桜の季節です。


 私はあまり季節の植物などをじっくり見るほうではありませんが、満開の桜には、やはり自然と目がいきます。

 なぜ桜は、こうまで特別に、人を惹き付けるのでしょうか。

 そう。

 そこには、桜のしたたかな生存戦略があるのです。


 実は桜は、人を集めて、そこからエネルギーを得ています。

 いや、人からエネルギーを吸い取っているわけではないので、ご安心を。


 どういうことかといいますと、つまり桜は、人から見られたり褒められたりするのが好きなのです。

 花見客や屋台やキッチンカーによって場が賑わい、人々が桜を眺め、口々に褒め、和気あいあいとしていると、桜は嬉しいのです。

 絵に描かれ、写真を撮られ、短歌や川柳を詠まれ、歌詞にされ、詩や小説の題材にされ、様々な形で愛でられることで、桜は元気になるのです。

 桜は、ちやほやされたいのです。

 言ってしまえば、承認欲求の塊です。


 見ごろの期間が限定的なのも、桜の戦略のうち。

 だから桜は、人々の心が浮き立つこの春の季節に、満開の花を鮮やかにパッと咲かせ、花吹雪とともに、さっと散るのです。

 そうして、多くの人を花見に誘い。

 花見客たちから得たエネルギーで、また翌年も美しく咲くのです。

 桜と人は、Win-Winの関係なのです。

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