第77話 宰相の資質

「ひとめわり」というのは、秋田おばこだった妻から聞いた方言である。

「なあんと、ひとめわりごど。そったごど、ひとめわりがら、まんずやめでけれなっ」などと使うらしい。


▼秋田と言えば「秋田音頭です。キタカサッサ、ドン!」だったが、今や菅義偉(元官房長官)内閣総理大臣である。

 偉くなってしまうと(周囲の忖度で)その生い立ちは美談に語られがちだ。

〇秋田から夜汽車で上京せし少年、僥倖(ぎょうこう)といはむ遂に総理を


▼しかし政治の世界である。

 きれいごとだけという訳もあるまい。

〇数学の〈離散集合〉と似て非なる〈離合集散〉は政治屋どもの

〇自民党総裁選とふ茶番にて日本の次の総理の誕生


▼総理を守るのが、官房長官の役割だと聞く。

 それを揶揄して「晋三ギャベジ缶の蓋だ」とまで言われた菅氏である。

「総理になってみて自分を守ってくれる官房長官には?」と熟慮したのだろう。

 新型コロナの受診要件に際して「それは誤解です」と言い逃れた加藤元厚生労働大臣を指名したのだからさすがである。


▼内閣誕生から程なく〈日本学術会議の任命拒否問題〉が起きた。

 強大な権力を手に入れて「何でも思いどおりになる」と勘違いしたのだろう。

 これでは晋三君と変わらない。

 もっとも「前政権を踏襲する」との約束だから無理もないが…。

○いつの世も服(まつろ)はぬ民への見せしめはお上のなさる常套手段か


▼10月5日の内閣記者会〈合同インタビュー〉で菅総理は述べてしまった。

「個別人事に関するコメントは控えたい。総合的、俯瞰的活動を確保する観点から判断した」と、まさにデジャヴである。

○日本学術会議任命拒否とふ理不尽に戦前回帰を恐れをるなり


▼絶対に戦争を繰り返してはならない。

 諦めずに民の声を上げ続けよう。


(20201019)

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