第44話 ウメガサイタ

 ベランダでは今年もロウバイが咲いた。

 去年より三週間は早い。

 爺医の誕生日へ間に合わせたように…。

○唐梅(からうめ)が一輪さきたる陽だまりの心地よきかな われ七十二歳

○ただ一輪 上むきに咲く唐梅は〈団塊の一粒〉のわれにも似たり


 三年前、ネットで入手した〈箱入り娘〉状態のロウバイを春に鉢植えした。

 それが毎年、ロウ細工のような黄色い花と甘い香りの〈ウィンタースィート〉に見事な変身である。


 ロウバイは〈冬の季語〉で「唐梅」とも呼ばれる。

 …が(ロウバイ科なので)ふつうの梅とは種類が違う。

 一方、バラ科に分類される梅は〈春の季語〉だ。


 台湾の国花…それにまつわるエピソードを紹介する。

 東日本大震災の津波で、宮城県南三陸町の公立志津川病院は壊滅的な被害を受けた。

 しかし間もなく仮設の公立南三陸診療所などで診療は再開される。


 それから四年余りの2015年12月14日に〈南三陸病院〉として復興! 

「台湾の皆さんありがとう」と刻まれた石碑が病院玄関の真正面にあり、その両側には梅と桜が一本ずつ植えられている。

 石碑に刻まれた文字は(南三陸病院の建設費約56億円のうち)約22億円を中華民国紅十字会総会(台湾赤十字)が支出したことへの謝意であった。

○梅咲けば台湾からの〈絆〉見ゆ南三陸の病院の庭に


 南三陸病院には、産婦人科診察室も新設された。

 そのきっかけは、公立南三陸診療所の〈レディース外来〉らしい。

 私としては「南三陸町で女性のプライマリケアを!」と始めただけだったのに…。


 その後、石巻赤十字病院の産科セミオープンシステムに参加し、待望の〈助産師外来〉も始まった。

南三陸町でも妊婦健診を受けられるのだ。

「多謝(ドウシャー)」を台湾へ送る。


(20200217)

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