第4話

幼稚園はロンドン動物園の近くにあった。

可愛い渡り廊下を渡ると、いつもパン屋さん来ていた。

アーモンド型のパンと、丸くてフワフワしたパンを、めっちゃ好きで、よく食べていた。


お遊戯会で、マジシャンになった。

服の内側に、布で作った可愛い玉子を仕込んどいて、パッと手をたたいて、玉子を取り出すっていう、可愛いマジシャンに、みんなでなった。


小学校にあがる時に、パリに引っ越した。

セーヌ川沿いの、きれいな公園の近くにある小学校だった。

家もセーヌ川沿いにあった。

小学校で、イレーヌちゃんと出会って仲良くなった。

イレーヌちゃんは、パパはフランス人で、ママは日本人だったから、よく家にも遊びに行っていた。

イレーヌちゃんもボクも美術、大好きだったから、2人で、よくルーブル美術館やオルセー美術館に行った。

2人とも、特にオルセー美術館の、カバネルさんと、ブーグローさんの、「ヴィーナス誕生」の絵、めっちゃ好きで、何回も観に行っていた。

イレーヌちゃんに、ヴィーナスの格好をしてもらって、ボクはその絵をよく描いていた。


セーヌ川の遊覧船に乗るのも好きで、2人で乗って、船からパリの街を眺めてた。


小学校の遠足で、バスでパリ郊外に出掛けた。バスの横の席の子に、何か話しかけなきゃって思って、

「あっ!あそこ、秘密基地に良いねっ...あっ!あっちも秘密基地に良いね~」

って、秘密基地ってばっかり言っていた。

その子も、うんうんって、うなずいてくれてたから、同じように思ってくれてて良かった~って思った。


ピンク色めっちゃ好きだったから、小学校にもピンクのカバンで行ってた。みんなも、

「良い色だね~」

って言ってくれてた。


小学校の演劇会で、バンビの役になったから、ママに茶色で可愛いバンビっぽい服を作ってもらって、それを着て、バンビ役を演じた。

イレーヌちゃんは、バンビのボクを見て

「可愛い~」

って喜んでくれた。


小学3年までパリに住んでいて、4年生になる時に、愛媛県松山市の小学校に転校した。

イレーヌちゃんとの別れは、めっちゃ寂しかった。

イレーヌちゃんは、日本のこと、めっちゃ好きだったから、ボクといっしょに日本に行きたがってた。

パリの空港に見送りに来てくれて

「イレーヌも日本に、そのうち行くから待っててね~」

って言ってた。

イレーヌちゃん、日本のアニメとかも好きで、いっしょによくコスプレもして、パリとかの「JAPONフェス」にも行ってた。

「日本の女子高生になりたい~」

って言ってた。

イレーヌちゃんはボクにチュッてしてくれた。

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