第9話
大学では、美術サークルの香空ちゃんに、
「あやめちゃんって、なんとなく、芸術家の女の子の守護霊さん、ついてるように思えるわ~」
って言われた。香空ちゃんは、霊感強いほうらしい。
「そうなのよ~。部屋に、その芸術家の女の子いるのよ~」
「やっぱりね~。かなり、お強い霊さんのようですわねっ」
大学の文化祭では、香空ちゃんをモデルにした絵を描いて展示した。
香空ちゃんと、香絵ちゃんって、似てるのかなあ~って思った。なんとなく同じ香りするなあ~って。
マンドリンのサークルには、あまり行かなくなってしまっていた。
優奈ちゃんと美葉ちゃんに、
「定期演奏会の時には、指揮者として参加してねっ」
って言われて、演奏会の時には、会場に行って指揮をした。
しおりちゃんは、児童文学の雑誌で、大賞を受賞して、書籍化されていた。次作の執筆も依頼されて喜んでいる。
4回生になる春休みに、香空ちゃんとヨーロッパの美術館巡りの旅に行った。
パリのルーブル美術館やオルセー美術館、ニースのシャガール美術館、マドリッドのプラド美術館、フィレンツェのウフィツィ美術館などを巡ってみた。
夜は各都市で、香空ちゃんとえっちしたけど、どの都市でも、女の子どうしのえっちだ。女子の体のボクだから。
でも香空ちゃんは、それで良いんだと言ってくれてる。
4回生になって、ボクも就職活動をした。
いくつか会社訪問して、面接や筆記試験を受けたりした。
結局、出版社の広告部に就職も決まった。
面接の時にも、
「うちの会社では女性誌も出しているから、あなたの女性らしい面も、服飾専門学校での勉強も、必ず活かされますよっ」
って言っていただけた。
「就職おめでとう~」
って香絵ちゃんに言われた。
「伊勢さんも喜んでいるわよ~。あやめちゃんにぴったりな会社で良かったね~って」
「ありがとうございます~。香絵ちゃんと伊勢さんのおかげかもしれませんっ」
「これで、うちは伊勢さんのところに戻りますねっ。0時を過ぎたら、あやめちゃんは、うちのことは全く覚えてないでしょうね。しゃべったことなど何もかも。ただ、もしかしたら、うちの愛撫やキスの感触だけは、なんとなく覚えているかもしれませんけど...」
「え~、そうなんですか~?」
ボクは香絵ちゃんに、何て言ったら良いのか、わからなかった。
「それじゃあ、あやめちゃん、さようなら~。うちは、いつでも、あやめちゃんのことは見ていますからね~。伊勢さんといっしょにねっ」
0時になった。
今日は出版社に初出勤する日だ。
毎晩、なんとなく、ボクの体を優しく抱いて愛撫して、顔にもキスしてくれてるような感じのする霊のおかげかな?
香代ちゃんは、芸術家の女の子みたいな感じするって言ってたけど。ボクは、そんなには霊感強くないから、そこまではわからないけど...
でも、なんとなく毎晩、優しく愛撫されてたような感じはしている。
ありがとう。就職も決まりました。
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